米カーライル・グループ傘下の理化学機器メーカー、リガク・ホールディングス(HD)が25日、東京証券取引所プライム市場に上場した。売り気配で取引が始まり、初値は1205円と公開価格1260円を約4%下回った。

初値を基にした時価総額は約2700億円。市場からの資金吸収額は1123億円と23日に上場した東京地下鉄(東京メトロ)に次ぐ今年2番目のIPO(新規株式公開)規模となった。株式の75%以上を保有するカーライルなどが国内外で売り出した。リガクは半導体や電池などの分野でエックス線技術を用いた分析機器を製造販売する。

株価は一時、公開価格の1260円まで戻したが、その後同価格を15%下回る1067円まで下落する場面もあった。終値は同10%安の1130円。東京メトロが初日の取引を公開価格比45%高で終えたのとは対照的だ。週末に予定される衆院選挙で与党が過半数を割り込むことへの警戒感が重しになり、株式市場で幅広い銘柄に売りが出ていることも影響した。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「半導体関連はボラティリティーが高くなっており、非常に触りづらいセクターになっていることもあって株価は伸び悩んでいる印象だ」と指摘。「半導体製造に関わる売り上げが今後期待できるという見通しが投資家の間で広がってくれば、見直し買いが入る余地はある」と述べた。

東京メトロは初日の取引開始から多くの買い注文を集め、株価が大きく上昇する盛り上がりを見せた。今年2番目の大型案件となるリガクHDの株価が好調となれば、上場を検討している企業を後押しし、日本のIPO市場の活性化にもつながるとの期待もあった。

株価は上昇余地も

三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、公開価格から30%のアップサイドが今後あるとみる。類似企業との比較から、予想1株利益(EPS)に基づく株価収益率(PER)は最大30倍程度になると想定するためだ。その上で、景気動向に敏感な半導体需要の影響を受けやすい一方、安定成長する製品も手掛けるため、位置付けが難しい銘柄だとも指摘した。

リガクHDはエックス線分析機器の能力を左右する要素技術を開発し、同技術を用いた部品の生産、販売までの全工程を自社内で完結できる点が強み。潜在成長性が高い海外市場でシェアを伸ばす余地があり、先端領域における新たな市場ニーズを取り込むことで事業を拡大できるとしている。

2024年12月期の売り上げ収益は前期比11%増の885億円、営業利益は同14%増の174億円を見込む。1株当たり利益は52円87銭の予想だ。半導体や電子部品材料などの分析需要が強く、受注が伸びているという。半導体の品質検査で使われる半導体プロセス・コントロール機器の売り上げは、中国などの需要増を受け前年比で約22%増える見通し。

一方、米中対立を背景とした半導体の輸出規制が業績へのリスクになり得る。同社は海外での売り上げが多く、有価証券報告書によると、23年12月期の海外売上高比率は69%に上る。最終市場別の売上高では半導体・電子部品が33%と最も多い。

中国では放射線装置の製造や販売、使用を巡る許可制度の免除認証を取得しているが、今後のモデルチェンジに伴い対象外となる可能性があるとして、前期に4億円強の引当金を計上した。

(株価終値を追加して記事を更新します)

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