(ブルームバーグ):仏高級品メーカー大手ケリングは、通期の利益が2016年以来の低水準に落ち込む見通しであることを明らかにした。中国の高級品需要の低迷が同社最大のブランドである「グッチ」の業績回復を妨げている。
23日の発表によると、24年通期の経常営業利益は25億ユーロ(約4110億円)程度になる見通し。これは過去8年間で最低の水準であり、アナリストが予想していた28億2000万ユーロを下回る。
利益の大半を占めるグッチの既存店売上高は7-9月(第3四半期)に前年同期比で25%減少した。
ニューヨークに上場しているケリングの米国預託証券(ADR)は23日、一時5.7%下落した。同社の株価は今年に入って40%余り下落しており、08年以来最悪の年間パフォーマンスとなる方向にある。
特に中国で高級品需要が低迷する中、主力ブランドであるグッチを回復させる難しさを今回の決算は浮き彫りにした。
同ブランドの業績回復には時間がかかると、ケリングのアルメル・プルー最高財務責任者(CFO)は電話会議で記者団に語った。中国の若年層の失業や不動産市場の低迷に対する懸念が、同国で消費者信頼感を低下させていると指摘した。
23年初めにグッチのクリエーティブ・ディレクターに就任したサバト・デ・サルノ氏が採用した新しい美的感覚について、ケリングは満足しているとプルー氏は述べた。デ・サルノ氏は、前任のアレッサンドロ・ミケーレ氏が2年前に退職するまでは華美なスタイルで知られていた同ブランドに、よりミニマリスト的なスタイルをもたらした。
ケリングは今月、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン元幹部のステファノ・カンティーノ氏を来年1月1日付でグッチの新しい最高経営責任者(CEO)に起用すると発表。カンティーノ氏は5月にグッチの副CEOとして入社した。
高級品市場の低迷に苦しむのはケリングだけではない。ルイヴィトンやクリスチャン・ディオールなどを含むLVMHの主要ファッションおよびレザーグッズブランドでも同期間の販売が振るわず、業績は低迷している。
原題:Kering Warns of Lowest Profit Since 2016 as Gucci Suffers (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2024 Bloomberg L.P.