(ブルームバーグ):米民主党の大統領候補、ハリス副大統領は、注目度の高い一連のイベントを迎えるに当たり、共和党の大統領候補、トランプ前大統領がナチス・ドイツの独裁者ヒトラーを称賛したとの新たな疑惑を利用し、選挙戦終盤で勢いを取り戻そうとしている。
トランプ氏の大統領首席補佐官だったジョン・ケリー氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とのインタビューで、トランプ氏は「ファシストの一般的な定義に当てはまる」とし、ヒトラーが幾つかの良い行いをしたと繰り返し示唆していたと発言。22日発行の米誌アトランティックに掲載された別の記事では、トランプ氏がホワイトハウスでの非公式な会話の中で「ヒトラーが抱えていたような将軍たち」が必要だと述べたと報じた。
これを受け、ハリス氏はトランプ氏を痛烈に批判。23日の副大統領公邸での演説で「トランプ氏が600万人のユダヤ人と数十万人の米国人の死の責任を負っているヒトラーを引き合いに出すことは非常に憂慮すべきで、極めて危険なことだ」とし、「これは大統領執務室や作戦司令室でトランプ氏と肩を並べて働いていた、トランプ氏を最もよく知る人々から見たトランプ氏の真の姿だ」と語った。
トランプ氏の陣営は報道を否定。スティーブン・チェン報道官は「ケリー氏は自らがねつ造した暴露話で自分自身を完全に笑い者にした」と指摘。「ケリー氏は現在、(トランプ氏の言動に過剰に反応し、全てを批判したがる)『トランプ錯乱症候群』の消耗性症状を患っている」と主張した。
それでも、この疑惑はハリス氏にとって好都合だ。ハリス氏の陣営は不満を抱く共和党員を取り込み、トランプ氏は民主主義に対する実存的な脅威だというケリー氏や他のトランプ氏の元側近らの警告に乗じている。
投票日まで2週間を切った今、ハリス氏は国民の議論をトランプ氏の性格に再び向けることができることを証明しなければならない。ハリス氏の従来型かつ保守的な選挙戦略では、マクドナルドのキッチンから米プロフットボールNFLのゴールデンタイムの試合まで型破りな場所や人々を訪れるトランプ氏に対抗し注目を集めるのは難しくなっている。
ハリス氏は23日にペンシルベニア州を訪問し、トランプ氏が開催を拒否した2回目の討論会の代わりに開催される米CNNのタウンホールに参加する。これはハリス氏が好むメッセージを広める絶好の機会となる。
ハリス氏の陣営は23日、共和党員だったスティーブン・アンダーソン退役陸軍准将と電話会談し、トランプ氏の疑惑の発言について批判した。ハリス氏自身もオバマ元大統領やミシェル元大統領夫人との集会や一連の有名人のコンサートを計画しており、支持率上昇を図っている。
一方、トランプ氏は23日にジョージア州で二つのイベントを開催するほか、27日にはニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンで大規模な集会を計画しており、メディアの注目を集めようとしている。
原題:Harris Seeks Advantage From Trump’s Alleged Praise of Hitler (1)(抜粋)
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