(ブルームバーグ):米連邦航空局(FAA)は22日、黎明(れいめい)期にある「空飛ぶタクシー」業界向けの最終的な安全規定を発表した。ジョビー・アビエーションやアーチャー・アビエーションなどの企業が最終的に商業運航を開始する上で重要な一里塚を越えたことになる。
新たな規則は、パイロットの訓練や運航に関する要件を定めている。業界各社は、早ければ来年末に米国で商業飛行を開始する上で不可欠な明確性が得られるとして今回のルール策定を待ち望んでいた。
FAAのウィテカー局長はラスベガスで開かれた会合で「極めて柔軟性のある設計になっている」と述べた。FAAは声明で、この規制は「近い将来にこれらの航空機を安全に導入するためのパズルの最後のピース」だとした。
発表が投資家に好感され、ジョビーの株価は米株式市場で12%強の大幅高。アーチャーの株価は7.8%上昇した。
ジョビーやアーチャーなどの企業は、電動垂直離着陸機(eVTOL)とも呼ばれる空飛ぶタクシーが、混雑した都市部の移動時間を短縮し航空業界を一変させると期待している。ただ、両社はいずれもFAAによる機体の型式証明発行を待っている状況だ。
ジョビーの創業者、ジョーベン・ビバート最高経営責任者(CEO)は発表文で、22日に「発表された規則により、米国がクリーンフライトの開発と採用において、引き続き世界的なリーダーシップを発揮することが確実になる」と表明した。
世界的な関心
空飛ぶタクシー業界は世界的な関心を集めており、従来型輸送分野の大手企業が投資している。トヨタ自動車は今月、ジョビーに5億ドル(約755億円)を追加投資すると発表。投資総額は8億9400万ドルに上る。また、デルタ航空もジョビーに出資しており、ニューヨークやロサンゼルスの空港への旅客輸送を計画している。
一方、クライスラーとフィアットを傘下に持つ欧米系自動車メーカーのステランティスは、アーチャーの筆頭株主。
FAAは声明で、「パワードリフト」と呼ぶこうした航空機は、1940年代のヘリコプター以来となる、完全に新しい民間航空機だと指摘。空飛ぶタクシーや貨物輸送、救急医療サービスなど、さまざまな用途に利用できる可能性があるとしている。
原題:Air Taxis Take One Step Closer to Reality With FAA Rules (1)(抜粋)
--取材協力:Edward Ludlow.
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