(ブルームバーグ):金価格が今年記録的値上がりとなっている主因は、各国・地域の中央銀行による金購入だ。しかし、中銀が金買い入れに強い関心を寄せている場合、事前にシグナルを発することはめったにない。
メキシコとモンゴル、チェコの中銀で外貨準備を担当するそれぞれの当局者は14日、こうした慣例を破り、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が米マイアミで開催した年次業界会議のパネルセッションで金保有の拡大に触れる異例の発言を行った。
3人のコメントは、彼らが金をどう見ているかについての独自の洞察を提供している。高まる地政学的緊張と低金利が重なる中で、各国の準備資産に占める金の割合が今後数年間で増加する公算が大きいとの見解を当局者は示した。
メキシコ中銀の国際準備資産担当ディレクター、ホアキン・タピア氏は「現在直面している状況、つまり低金利や政治的緊張、米国の選挙、多くの不確実性を考えると、ポートフォリオにおける金の割合も増加する可能性がある」と述べた。モンゴル中銀のエンフジン・アタルバートル氏とチェコ中銀のマレク・セスタク氏もタピア氏の発言に同調した。
アタルバートル氏は「モンゴルの場合、準備高は今後も増え続けると予想しており、準備高に占める金の割合も増加し得ると見込む」と説明。チェコ中銀でリスク管理部門に所属するセスタク氏は、「完全に同意する」と返した。

金相場は今年に入り25%余り上げ、米国株や債券を上回るパフォーマンスを記録し、史上最高値を更新し続けている。
地政学的あるいは経済的な不確実性から公的資産の価値を守るため、準備資産の管理担当者は安全とされる金に着目。中銀が前例のない水準で金地金を購入したことが、金値上がりを後押しした要因となっている。
原題:Central Bankers Make Rare Comments in Favor of Bigger Gold Stash(抜粋)
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