中国財政省が12日に開いた記者会見は、株式投資家が期待していたほどのインパクトはなかった。世界をリードした株価急騰後に市場を襲ったボラティリティーが今後も続く可能性が高い。

藍仏安財政相は苦境の不動産部門への追加支援を表明し、経済を支えるため政府の借り入れを増やす可能性を示唆したが、市場が求めていた新たな財政刺激策の具体的な数字には触れなかった。

経済の弱点となっている消費を刺激する新たなインセンティブがないことも、トレーダーが失望感を抱く理由の一つだ。

北京を本拠とするブティック型投資銀行、香頌資本の沈萌ディレクターは、同省は「最善を尽くした」が、発表された内容と市場の期待には大きなギャップがあると指摘し、「そのため、投資家の全体的なセンチメントはネガティブだ」と述べた。

投資家の忍耐も限界に近づきつつある。9月下旬に当局が打ち出した景気刺激策がもたらした株高を維持するため、大胆な財政出動を発表するよう中国政府に求める声が高まっている。

本土株の指標CSI300指数は11日、7月下旬以来最大の週間下落率を記録した。財政省の記者会見を前にボラティリティーが高まった。

株価がまた上がっても、再び「偽りの上昇局面」ではないかという疑念が再燃し、新たな売り圧力が生じる可能性がある。

これまでにも、中国政府の場当たり的な刺激策が短期的な相場回復をもたらしただけで、上げ下げを繰り返す状況に市場が陥ったことは何度かあった。

利益確定売り

地方政府は売れ残り住宅を購入し、支援住宅に転用するための特別債を発行することが認められる予定だと藍財政相らは12日に述べた。

また、追加刺激策の具体的規模への言及を避けながらも、国債の増発と政府支出の拡大に余地があると示唆。これらの措置は、今月末か11月初旬に発表される可能性がある。

週末を前にブルームバーグの取材に応じた投資家やアナリストらは、中国が12日に最大2兆元(約42兆円)規模の新たな財政刺激策を打ち出すと予想していた。

マゼラン・インベストメンツ・ホールディングの株式ロング・ショート責任者ブリトニー・ラム氏は「さらなる財政刺激策の余地はまだ残されている」としながらも、「市場でさらに利益確定売りが出る可能性が高い」との見通しを示した。

13日に発表された9月の中国インフレ統計は、投資家の懸念を一段と強めそうだ。消費者物価指数(CPI)は予想を下回る上昇にとどまり、生産者物価指数(PPI)は24カ月連続で前年同月比で低下した。経済をデフレから脱却させるため、政策支援を追加する必要性を浮き彫りにしている。

オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のストラテジスト、フランシス・チュン氏は財政省が12日に「比較的大きな金額、または比較的大きな余地」といった表現を用いて対策を説明したため、トレーダーらはさらに詳細を待ち続けることになると分析。

14日の中国株がどう反応するかとの問いに対し、「全体としてエキサイティングな展開にはならないだろう」と語った。

原題:China Puts Investor Patience to Test as Key Briefing Underwhelms (抜粋)

--取材協力:Abhishek Vishnoi、Lin Zhu、Wenjin Lv、Shuiyu Jing、April Ma.

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