中国当局は金融機関に対し、比較的高利回りの資産運用商品である理財商品への監視を強化するよう求めた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。最近の中国株急騰を受け、投資家が理財商品から1兆500億元(約22兆円)相当の資金を引き揚げる事態となっている。

非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、規制当局は最近、銀行や運用・販売会社に対し、理財商品の規模の変化を日次ベースで監視するよう指示した。株式相場の急速な持ち直しで、投資家による債券運用商品の解約が殺到しており、銀行は短期的な償還に対応する能力に関しても報告するよう求められた。当局は、債券相場急落で投資家の解約が相次いだ2022年後半にも同様の指示を銀行に出している。

中国当局が一段と踏み込んだ対策を講じるかは不明だが、今回の監視強化は債券市場への潜在的な影響を防ぐための予防措置だと関係者は述べた。一部の銀行は償還リスクを軽減するため、自己勘定取引デスクを通じて債券を購入する計画を規制当局に伝えたと関係者の1人は話した。

国家金融監督管理総局と中国人民銀行(中央銀行)はコメント要請にすぐには応じなかった。

理財商品の償還と債券相場の下落という下降スパイラルで、金融が不安定化する恐れがあるとの当局の懸念が今回の指導で浮き彫りとなった。景気刺激策によって拍車が掛かった中国株高は、個人投資家に理財商品や債券で運用する公募投資信託からの資金引き揚げを促し、社債価格の下落や商品解約を加速させている。

中国の資産運用・ウェルスマネジメント業界を調査するコンサルティング会社、普益標準のデータに基づくブルームバーグの推計によると、理財商品の残高は9月22日から今月6日までに1兆500億元減少した。

当局のデータによれば、6月時点の理財商品残高の約41%を社債が占めていたため、社債市場がまず打撃を受けた。ソブリン債、あるいは準ソブリン債が占める割合は3%未満だった。

チャイナボンドの指数によると、AA格の3年物社債の平均利回りは今週、22ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超上昇し2.71%。このままなら週間ベースで約2年ぶりの大幅上昇となる。ソブリン債に対する3年物ジャンク級(投資不適格)社債のスプレッドは、ここ1年で最も高くなった。

原題:China Steps Up Wealth Product Checks After $149 Billion Outflow(抜粋)

--取材協力:Amanda Wang、Yuling Yang、Dingmin Zhang、Qizi Sun.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.