(ブルームバーグ):ニューヨーク市の家賃は9月も下落したが、賃貸物件を探しながら家賃の大幅な下落を期待している人は、しばらく待つ必要がありそうだ。
不動産鑑定会社ミラー・サミュエルと仲介会社グラス・エリマン・リアル・エステートによる10日の発表によると、マンハッタンで新規契約された賃貸物件の家賃中央値は4200ドル(約62万円)と、前年同月比で3.4%下落した。ブルックリンとクイーンズでも下がった。
マンハッタンの家賃は過去5カ月のうち4カ月で徐々に低下している。だが、家賃中央値は2023年夏に記録した過去最高水準をわずか200ドル下回る程度で、コロナ禍前の19年9月の水準を2割上回っている。
ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー社長は、秋から冬にかけて家賃は下がる傾向にあり、「若干の緩和」は見込まれるものの、「大幅な低下や調整はないだろう」と指摘。賃貸物件確保に向けた競争がなおかなり激しいことが一因だ。マンハッタンで新規契約件数は前年同月より4割増え、全体の約2割で競り合いがあった。
ミラー社長によると、住宅ローン金利低下に魅力を感じ、賃貸から住宅購入に乗り換える人が出てきたことも、最近の家賃低下の要因だ。ただこのところ、堅調な雇用統計を受けて米大幅利下げ観測が後退したことに伴い、住宅ローン金利が上昇している。
同社長は「景気動向を踏まえた家賃の方向性を考えてみると、賃金と雇用は引き続き期待を裏切るものだ」とした上で、「端的に言うと、米利下げは購入市場にとって重要だ。だが住宅ローン金利が下がらなければ、家賃低下は滞るだろう」と予測した。
原題:NYC Apartment Renters Get a Break But Bargains Remain Elusive(抜粋)
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