(ブルームバーグ):日本製鉄は11日、USスチール買収が実現した場合、米国競争法上の懸念に対応するため、完全子会社NS Koteの全株式を鉄鋼大手の欧州アルセロール・ミタルに譲渡すると発表した。
発表によると、NS Koteは米国で鋼板を製造販売するAM/NSカルバートにミタルと折半出資している。譲渡に伴い、2300億円程度の事業再編損失を計上し、うち1000億円程度がキャッシュアウトを伴う損失となる見込みだという。
全米鉄鋼労働組合(USW)が反対するUSスチール買収計画はバイデン大統領やトランプ前大統領が反対する姿勢を示しており先行きには不透明感が漂っている。国家安全保障リスクを審査する対米外国投資委員会(CFIUS)は日鉄に審査の再申請を許可しており、判断は11月の選挙後まで持ち越される公算が高いとされている。
日鉄の岩井尚彦常務執行役員は11日のオンライン説明会で、持ち分譲渡がUSスチール買収について規制当局から承認を適時に得るために「最も確実な対応と判断し今回の決定に至った」と話した。
日鉄は11日の発表で、USスチール買収について、米国規制当局からの承認取得を含む前提条件が満たされることを前提に、24年末までに完了する予定だと改めて表明。買収が実現しない場合、今回発表された株式譲渡は実行されないとした。
日鉄は株式譲渡による損失を反映させた24年度業績見通し変更を行った場合も通期配当予想は1株当たり160円を維持する予定だという。損失は一過性で過半がキャッシュアウトを伴わない損失であるほか、USスチールの収益取り込みによる利益成長を見込むためだとした。
(会見での発言を追加して更新します)
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