(ブルームバーグ):コモディティー価格は中東での衝突激化やウクライナ戦争、異常気象、供給面のボトルネックを背景に高騰している。今週のグローバル商品市場で注目すべき五つのチャートを次に挙げる。
商品指数
ブルームバーグ商品スポット指数は、過去最高値を何度も更新した金相場の上昇などに支えられ、5月後半の高値を回復した。同指数に占める金の比重は17%で、それ以外に農産品・エネルギー・金属市場の24種の先物が組み込まれている。9月末にかけての天然ガスと銅の反発も指数の回復に寄与した。原油先物も中東での戦闘の影響で10月初めにかけ値上がりした。
金の対原油価格比率
今年に入り金は急騰し、金価格との対比で原油は過去3年余りで最も安くなった。中東での衝突激化で勢いはやや鈍ったが、9月26日時点では、金1オンスで購入可能な北海ブレント原油の量は37バレル強と、2021年1月以降で最も多かった。
その後、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの拠点へのイスラエル空爆と、イランによるイスラエルへのミサイル攻撃が原油価格を押し上げたが、金の原油に対する価格比率は、直近の高水準近くにとどまっている。原油が18年ぶりの安値を付けた新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期には、金1オンスで原油87バレル余りを購入できた。
太陽光発電
欧州では太陽光発電容量が大幅に拡大しており、電力需要の伸びが見込まれる冬の間も太陽光発電でかなりの部分を賄える見通しだ。
コンサルティング会社ICISによると、今年10月から来年3月までの電力需要増加分の56%を太陽光発電の増加でカバーできる見込み。太陽光発電は原子力・化石燃料発電より低コストなため設置が急増しており、ドイツがけん引する太陽光発電の拡大は欧州のエネルギー経済を一変させつつある。
アルミニウム
ロンドン金属取引所(LME)ではアルミニウム10月渡しの11月に対するプレミアムが拡大し、アルミ市場の需給が逼迫(ひっぱく)する兆候が見られる。LMEの指定倉庫会社イスティム・メタルズが管理手数料を引き上げて物議を醸す中で、LMEの倉庫からのアルミニウム引き出しで順番を待つトレーダーは、ヘッジポジションのロールオーバーが必要なため、圧力を受けている。
世界的な資源商社トラフィグラ・グループが保有する10月渡しの大規模ロングポジションにも市場は注目している。トラフィグラはイスティムの倉庫に大量のアルミニウムを保管した会社でもある。
穀物
ブラジルのトウモロコシ価格は5週間にわたる上昇局面の後、1月初めの高値圏で推移している。今シーズンのトウモロコシの収穫は、大豆の作付けの大幅な遅れで打撃を受ける恐れがある。さらに主要生産地域の降雨不足で大豆の収穫も遅れており、大豆の収穫後に作付けされるトウモロコシは影響を被りそうだ。ブラジルは世界2位のトウモロコシ供給国。
原題:Five Key Charts to Watch in Global Commodities This Week (1)(抜粋)
--取材協力:Mark Burton.
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