ガザ戦闘1年 終わりは見えず
小川彩佳キャスター:
ここで中継です。イスラエルには増尾記者がいます。増尾さんはイスラエルでこの1年取材を続けてきたわけですけれども、どんなことが見えてきましたか?

中東支局長・増尾聡記者:
イスラエル南部のスデロットです。ガザにほど近いこの場所ではこの1年間、イスラエル軍による砲撃、そしてその傷跡というのがよく見えるんです。ガザからは色がどんどん失われていき、茶色い色が目立つようになってきました。
そして私達がいるこの場所ですけれども、望遠鏡が設けられており、今もイスラエルの方が覗いています。ガザがイスラエル軍によって攻撃を受ける、そういった様子を見るスポットもあるんです。非常に複雑な思いにさせられます。
ガザへの侵攻を続ける中でイスラエル軍はこの1年間、標的を絞って、そして確固たる情報に基づいて攻撃したという主張を何度も繰り返してきました。ただ、果たして本当にそうだったのだろうかと、疑問を感じています。ガザにいた元イスラエル兵のユバルさんの告白や、安全とされたエリアにある自宅で家族を殺害されたムハンマドさんの話など、数々の実態を聞くにつれ、イスラエル軍の攻撃や破壊はあまりに過剰だったのではないか、そんなふうにすら感じてしまいます。
今回実名で顔を出して証言してくれた元イスラエル兵のユバルさんですが、インタビューに応じてくれた理由について、このガザへの関心が薄れていく中で改めてこのガザの現状を見て、そして外から、世界からこの戦いを止めるために圧力をかけてほしいんだと話していました。
レバノンに拡大した戦火や、イランとの緊張など、混迷を極めている中東情勢なだけに、ガザでの惨状が見えづらくなっていますが、今この瞬間もこの場所で毎日何十人、何百人と殺されていく現実があることを、私達は目をそらしてはいけないんだというふうに感じます。