13日の日本市場では円相場が対ドルで8カ月半ぶりの高値を更新。米国の金融当局者らは来週の会合での利下げ幅を決めかねていると報じられ、大幅な利下げ観測が再浮上した。株式は円高が企業業績を押し下げるとの不安から輸出関連株主導で反落。債券は上昇した。

米国では11日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)を受けて、連邦公開市場委員会(FOMC)が17、18日の会合で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅な利下げを行うとの見方が後退。金融市場は25bpの利下げを織り込んでいたが、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は政策担当者らは利下げ幅を決めかねていると報じた。

また、ニューヨーク連銀のダドリー前総裁は13日、ブレトンウッズ委員会がシンガポールで開催したフォーラムで、「50bpの利下げはあり得ると思う」と述べた。

FRB、利下げ幅決めかねている公算-NY連銀前総裁も50bpに言及

スワップ市場では50bp利下げの織り込みが3割程度に上昇。円は対ドルで140円65銭まで値を上げて、11日に付けていた8カ月半ぶり高値を更新した。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「CPIや生産者物価指数(PPI)を受けて25bpの雰囲気になっていたため、50bpとなると為替市場も織り込めておらず、もう少しドルが売られる可能性がある」と話した。

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=140円台後半に上昇。米大幅利下げの可能性が再び意識され、ドルが売られた。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「来週のFOMCに向けてドルが弱くなるとの期待が強く、ドル安の受け皿として円が選好されやすい」と指摘。「米利下げ幅は基本は25bpとみるが、それだと株安などで反応するリスクも警戒される」と話していた。

 

株式

東京株式相場は下落。米国の利下げ期待が高まる中で円高が進み、業績懸念から自動車や電機といった輸出関連株が下げた。

TOPIXの下落に最も寄与したのはトヨタ自動車。指数を構成する2132銘柄中、値上がりは554、値下がりは1485。売買代金上位ではキヤノンやNECの下げが目立ち、利益計画が失望視されたビジョナルは大幅安。半面、アナリストの強気判断を材料に川崎重工業と三越伊勢丹ホールディングスは買われた。

インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「米国の金利が低下し、円は対ドルで強含んだ」と述べた上で、円高は特に輸出関連企業にとってマイナスに働き、相場の重しと指摘した。

 

債券

債券相場は上昇。米国の大幅利下げ観測がくすぶり、時間外取引で米金利が低下する中、買いが優勢だった。9月末の上期末を意識した持ち高調整の買いも指摘された。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、12日の20年国債入札後も債券は買われており、「9月末をにらんで残高調整的な買いや、米国の景気後退観測や金利低下を意識して押し目買いが入っているのではないか」と話した。日本の3連休や来週の日米中銀の金融政策決定を控えて「本格的に動く投資家はおらず、持ち高調整の動きが続きやすい」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

 
--取材協力:岩井春翔.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.