8月4週(26-30日)の日本株は前週末の水準近くで一進一退する見込み。重要な経済指標など手がかり材料が乏しい上に、急速な相場回復後とあって売買は交錯しやすい。米国株全体への影響が大きいエヌビディアの決算発表を機に、相場が上下に大きく振れる可能性はある。

市場で注目が集まっているのは、人工知能(AI)半導体のエヌビディアが28日に発表する業績だ。決算でAI需要の強さが確認できれば株価の最高値が視野に入る半面、決算発表前に株価は急上昇していることから内容次第では反動も出やすい。半導体関連だけでなくマーケット全体に影響しかねないだけに、週前半は投資家が様子見姿勢を強めて低調な売買になりそうだ。

米経済指標の改善は相場を支えそうだ。26日に発表がある7月の耐久財受注は市場予想が前月比3.9%増。6.7%減だった6月から好転する見通し。30日発表の7月の米個人消費支出(PCE)では、コア価格指数の市場予想が前月比0.2%上昇。伸び率は6月と同じになる見込みだ。

 

東証株価指数(TOPIX)は8月初旬の急落幅の大半を取り戻し、3月から6月にかけて安定推移した水準の近くで落ち着きつつある。8月3週のTOPIXは週間で0.2%高と続伸した。上値では戻り売りが出やすい半面、下値では買い遅れた投資家の押し目買いが入りやすい状況だ。

《市場関係者の見方》

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャー

市場へ大きな影響を与える材料が乏しく、踊り場的な相場となりそうだ。日銀の過度なタカ派姿勢と米景気後退という日本株の急落を招いた2つの懸念が払しょくされ、相場変動は落ち着いてきた。基本的な株価方向性は上向きだが、もう一段戻るかどうかは企業業績などをまず確認したい。

SBI証券の鈴木英之投資情報部長

日経平均株価は3万8000円台前半でもみ合うのがメインシナリオ。国内主要企業の決算発表が既に一巡しているため、エヌビディアの決算は一つのポイントになる。良好な決算や収益見通しが確認できれば、米国株は堅調に推移しそうだ。ただ、日経平均は3万8000円台に結構な累積出来高があり、相場見通しの強弱感は分かれやすい。

--取材協力:我妻綾、横山桃花.

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