19日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=146円台前半に上昇。今週末のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演と、日本銀行の植田和男総裁の衆参両院の閉会中審査を控え、日米の金利差縮小をにらんだ円買い・ドル売りが出ている。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、投機筋のポジションが円の売り越しから3年ぶりに買い越しに転換しており、「日銀の利上げを諦めていない投資家がいるのかもしれない」と語る。

米商品先物取引委員会(CFTC)が16日発表した13日終了週の建玉(未決済約定)報告によると、投機筋のポジションは円の売り越しから3年ぶりに買い越しに転換した。

ヘッジファンド、円の買い越しに転換-キャリトレ解消で3年ぶり

柴田氏は、パウエルFRB議長もジャクソンホール会合で9月の利下げに向けた地ならしに入るだろうし、「週末の日米中央銀行トップの発言を前に円を買いドルを売っておこうという動きかもしれない」と言う。

 

23日に植田総裁が衆参両院の閉会中審査に出席し、パウエルFRB議長がカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)で講演する。植田総裁は内田真一副総裁の7日の講演と同様、追加利上げに慎重な見方を示すか、パウエル議長は9月の利下げを巡る示唆があるか注目される。

大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、植田総裁がハト派だった内田副総裁の講演をなぞる発言をすれば市場は安定する一方、「従来のタカ派発言を踏襲すれば円高方向に波乱の展開になる」と指摘。今週は円高方向の想定として1ドル=145円くらいをみておいた方がいいかもしれないと述べた。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、植田総裁の発言は基本的に内田副総裁と変わらないトーンになるだろうが、日米とも株価が戻り基調にあるため、利上げを継続するというコメントが重視されてタカ派に受け止められ、若干円高に振れるリスクもあるとみている。

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