イングランド銀行(英中央銀行)が今週開く金融政策委員会(MPC)の金融政策決定は、なお予断を許さない。金融緩和の開始に動くとすれば、一連の連続利下げを期待しないよう投資家に警告を発する可能性が高い。

ブルームバーグが調査したエコノミストの大部分が、新型コロナウイルス禍の発生直後以来で初の利下げが8月1日に発表されると予想する。しかし、多くが際どい決定を見込んでおり、投資家が織り込む0.25ポイント利下げ確率は45%にとどまっている。

 

英中銀はロンドン時間8月1日正午(日本時間同午後8時)に政策決定を公表する。英国の政策金利は5.25%と16年ぶりの高水準にあるが、大方のエコノミストの予測通りなら、5%に引き下げられる。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ英国担当エコノミスト、ダン・ハンソン氏らは「イングランド銀の8月の政策決定は予断を許さない。8月の結果について強い確信を持つことは難しいが、全体を考慮すれば、据え置きより利下げの公算が大きいとわれわれは考える」と認識を示した。

過去の金融緩和サイクルと異なり、英経済は今年と来年に勢いを増すと予想され、インフレ圧力のリスクが残る。ベイリー総裁は5月以降沈黙を守っており、賃金と物価を巡る懸念と、高金利が成長を抑制する危険とのバランスをMPCがどう判断するか、アナリストは推測せざるを得ない。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)の英国担当エコノミスト、ソナリ・プンハニ氏は「英中銀が将来の金利の軌道に関する明確なガイダンスを示したり、持続的な利下げサイクルの開始を示唆したりする可能性は低い」と指摘した。

 

英中銀が今週のMPCで金利引き下げを決めたとしても、市場もアナリストも速いペースの金融緩和を想定していない。投資家は年内2回の0.25ポイント利下げしか織り込んでおらず、1日に金融緩和の決定が発表されたとしても、政策金利が景気抑制的な領域にとどまるというのが中銀の見解だ。

利下げは最近数カ月のポンド相場上昇の流れを反転させる恐れもある。

 

英中銀のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏と外部委員のジョナサン・ハスケル氏、キャサリン・マン委員を中心とするMPCの一部メンバーは、特にサービスインフレと賃金の伸びに根強い物価圧力を指摘しており、エコノミストの間では、利下げは5対4で意見が割れるとの見方もある。

最新のインフレ予測も1日に金融政策決定と同時に公表される。

 

 

原題:Bank of England May Kick Off Slow Cycle of Interest Rate Cuts(抜粋)

(MPCメンバーの意見の相違などを追加して更新します)

--取材協力:市倉はるみAndrew Atkinson.

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