(ブルームバーグ): 17日の東京株式相場は上昇。米国で6月の小売売上高が市場予想を上回る一方、早期の利下げ観測も根強く、米経済のソフトランディング(軟着陸)を見込む買いが優勢だ。機械や精密機器株のほか、繊維や非鉄金属などの素材株といったシクリカル(景気循環)セクターが高い。
米小売売上高が堅調な半面、暗殺未遂事件をきっかけに共和党のトランプ候補が米大統領選で勝つ可能性が高まり、ハト派的な金融政策や拡張的な財政政策が展開されるとの見方が強まる中、16日の米ダウ工業株30種平均は700ドル以上上げ、投資対象もハイテク一辺倒から幅広い業種に広がった。米市場でのリスク資産投資に前向きな流れは、日本市場にも好影響を及ぼしている。
ただ、日本株の騰落レシオは120%に近づくなど一部のテクニカル指標が相場の過熱感を示唆しつつあったため、主要株価指数の上昇力は限定的だ。TOPIXを構成する2136銘柄中、上昇は1562、下落は473。
売買代金上位では三菱重工業や川崎重工業、コマツ、東レが上げ、劇場版「名探偵コナン」の好調で第1四半期決算が3割を超す増益だった東宝が急伸。半面、オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLホールディングの業績開示を控え、ディスコや東京エレクトロンなど半導体関連株は軟調だ。
楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは、株価が高いのか安いのかを業績を手がかりに見極めていく段階に入っていくと指摘。ただし、今週はまだ決算が少なく、海外ではトランプラリーの動きがあるなど流動的な部分があり、投資家は様子を見ている印象だと話した。
CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長も、米国でいろいろな事が起きており、日本に対する関心が欠けていると分析。月末の金融政策決定会合で日本銀行がどう動くかも気になる中、ドルベースの日経平均はレンジ推移が続き、相場は盛り上がりを欠いているとの見方を示す。
インサイト
●東証33業種中、30業種が上昇、上昇率トップは繊維、下落率トップはその他製品
●MSCIアジア太平洋指数は0.3%高
●TOPIXは年初来23%上昇、MSCIアジア太平洋指数は11%上昇
●TOPIXの12カ月先予想株価収益率(PER)は15.7倍
背景
●米小売売上高、自動車除くベースで堅調な伸び-消費の底堅さ示唆
●トランプ氏、パウエルFRB議長の任期満了前に解任目指さない
●今年の日本成長0.7%に下げ、世界据え置き-IMFが高金利長期化警告
●ドル・円相場は1ドル=158円台前半で推移、前日の日本株終値時点は158円73銭
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