「納得させる要素は何もない」単独インタビューでも汚名返上できず

トランプ氏との討論会をきっかけに、民主党内で高まったバイデン大統領への“高齢不安”。懸念を払拭することができるのか?バイデン大統領の動向に注目が集まったこの1週間を振り返っていく。

現地5日、バイデン大統領が応じたのはABCテレビの単独インタビュー。決まった発言・台本がない状況で、しっかりと受け答えができるのかが世間の関心だった。インタビューの中で「選挙戦を継続する」と繰り返し強調し、自ら撤退論を否定した。

しかし、メディアの反応は手厳しいものだった。

インタビュー映像が放送された後、ABCテレビの記者は「神経質になっている民主党員を納得させる要素は何もなかった」とバッサリ。さらに、他のアメリカメディアでも懸念が深まったという受け止めが目立ったものになった。

インタビューで聞き手を務めたステファノプロス氏は、クリントン政権で広報担当を務めた後、ニュースキャスターに転身した人物で、「民主党寄り」とも見られがちだ。バイデン陣営としては高齢不安を打ち消すために、厳しい追及を避けられそうなインタビューを設定したとみられるが、結果的に民主党内外からの批判を抑えるには至らなかった。

さらに旗色が悪くなったきっかけがナンシー・ペロシ元下院議長(84)の発言だ。ペロシ氏はバイデン大統領の意思決定に影響を及ぼせる数少ない人物の一人と見られている。そんな彼女が、バイデン大統領が怒りをあらわにした番組「モーニングジョー」に出演し、バイデン大統領に対して「決断を促している」と発言したのだ。

バイデン大統領は既に「選挙戦を継続する」と公にしているにもかかわらず、そう伝えたことが、「撤退を促しているのでは」と捉えられて、波紋が広がった。
さらに、民主党の重鎮、チャック・シューマー上院院内総務が「バイデン大統領の交替の可能性も排除しない」と献金者に話したと米メディアAXIOSが報道したのだ。

身内からの圧力もさることながら、今後、バイデン大統領にとって痛手になり得るのは選挙資金面における影響だ。