(ブルームバーグ): 中国の貿易黒字が6月に拡大し、過去最大規模に膨らんだ。輸出が伸びる一方、輸入は予想外に減少した結果で、通商対立が激しくなるリスクが高まっている。
税関総署が12日発表した6月の輸出はドルベースで前年同月比8.6%増と、3カ月連続で増加。エコノミスト予想中央値は8%増、5月は7.6%増えていた。
一方、輸入は前年同月比2.3%減少。予想は2.5%増加だった。貿易黒字は990億ドル(約15兆7700億円)に上った。

不均衡拡大に警戒を強める中国の貿易相手国・地域は、電気自動車(EV)など中国からの輸入品に関税を上乗せすることで対抗している。通商面の緊張で、欧州連合(EU)と中国の関係も悪化しており、中国は今週、EUの貿易障壁を巡り報復的な調査を開始した。
中国、EUの措置巡り調査-違法な貿易障壁に相当するか判断へ
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは最大規模に膨らんだ中国の貿易黒字について、「内需が弱いことに加え、高水準の生産能力が輸出に依存する形となっており、中国の経済状況を反映している」と指摘。その上で、「今年後半の中国経済にとって、堅調な輸出を維持できるかが大きなリスクになる。米経済は減速し、貿易摩擦が激しくなりつつある」と述べた。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)時に在宅勤務用のハイテク製品の出荷が急増し、中国の貿易黒字も急拡大していた。輸出の伸びは当時の高い水準から鈍っているが、内需の低迷で輸入も伸び悩んでいる。
ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「今回の記録的な貿易黒字を受け、中国の過剰生産能力や貿易促進を目的としたダンピング(不当廉売)と受け止められる行為に関して結論を急ぐ人々を勢い付かせる可能性もある」と分析。迫り来る追加関税を回避するため、メーカーが受注を前倒しし、輸出が伸びた面もあると付け加えた。
中国は15日に4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)統計を発表する。成長率の鈍化が予想されており、中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を同日から開く指導部に対し、てこ入れに向けた圧力が強まることになる。
中国共産党の3中総会、7月15~18日開催-党の領導改めて強調
原題:China’s Record Trade Surplus Risks Further Straining Ties (1)(抜粋)
(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)
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