(ブルームバーグ): 外国為替市場で11日夜から円相場が乱高下し、市場で円買い介入の観測が出ている。日本の通貨当局は従来通り介入の有無へのコメントを控える姿勢を維持しつつ、過度な変動には適切に対応する方針を改めて示した。
神田真人財務官は12日朝、前日の米国時間に円が対ドルで急伸したことを受け、前日の夜に続いて為替介入の有無について明言を避けた。その上で、「過度の変動や無秩序な動きには適切に対応する」と述べた。財務省内で記者団に語った。
為替介入、「コメントする立場でない」と神田財務官-一時157円台
鈴木俊一財務相もその後の閣議後会見で、為替介入は「その有無も含めてコメントを控えるのが基本的な立場だ」と説明。最近の為替相場の動きに関しては評価を控えるとしつつも、「急激な変化は望ましくない。特に一方的な動きには懸念を持つ」と述べた。

12日の東京市場の円相場は1ドル=159円台前半で推移した後、一時157円台後半まで上昇。その後再び159円台に戻すなど不安定な値動きとなっている。11日の米国市場では、予想を下回る6月の米消費者物価指数(CPI)発表後に円は161円台後半から157円台前半まで急伸。市場ではドル安のタイミングに合わせた政府・日本銀行の円買い介入との見方が出ており、通貨当局の情報発信を注視している。
事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は12日午前8時半前後、市場参加者に円の対ユーロ相場について水準を尋ねる「レートチェック」を実施した。クロス円(対ドル以外の円相場)で加速していた円安進行をけん制するメッセージと市場ではみられている。
投機と考えるのが自然
神田財務官は、これまでの円安の動きについて「かなりの大きな変動だ」と指摘。円安で輸入物価が押し上げられ、国民生活に悪影響があるなら「ゆゆしきことだ」と話した。日米の金利差を考えれば、最近では60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小しているにもかかわらず円安が進むのは「投機と考えるのが自然だ」とも述べた。
一部の介入報道に関しては、知り得る立場の人間は限られているとし、政府関係者が話したとは考えられないとの認識を示した。インサイダー取引を起こさない観点などから、事実を知り得る関係者は「数人と言っていいかもしれない」と絞り込んでいるとした。
毎日新聞のオンライン版は12日朝、日本政府・日銀は円買い・ドル売りの為替介入を実施したと政府関係者が明らかにしたと報じた。
月次ベースの介入の有無は、総額の形で財務省が月末に公表する。介入が確認されれば、過去最大の円買い介入を行った4-5月以来となる。
--取材協力:船曳三郎、間一生.
(鈴木財務相の発言を追加、全体の構成を差し替えて更新しました)
More stories like this are available on bloomberg.com
©2024 Bloomberg L.P.