(ブルームバーグ): ファーストリテイリングは11日、今期(2024年8月期)の営業利益予想を4750億円に上方修正した。従来は4500億円だった。ブルームバーグが集計したアナリスト15人の予想平均4528億円を上回った。北米や欧州市場が好調で中国での苦戦をカバーした。
業績の進捗(しんちょく)と足元の為替レートを反映し上方修正した。為替差益として355億円を見込む。今期の年間配当は業績見通しの上方修正を反映し、従来予想から50円増額して400円とする。

北米や欧州のユニクロ事業が好調に推移する一方で、中国本土と香港では苦戦。第3四半期は現地通貨ベースで減収、大幅な減益となった。中国本土では消費意欲の低下や天候不順の影響を受けたほか、地域の顧客ニーズにあった商品構成が不十分だった。月商が低く、集客できていない立地の店舗も150店舗程度あるという。
中国の国家統計局が10日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.2%上昇で、ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値を下回った。内需の冷え込みが続き、ファストリも影響を受ける。ただ海外にあるユニクロの店舗のうち、グレーターチャイナは約6割を占める。同地域は海外展開でさらなる成長を目指すファストリにとって要であり、厳しい環境下でも立て直しが欠かせない。
グレーターチャイナ事業は通期では増収を確保し、若干の減益の見込みとしている。ユニクロのグレーターチャイナ最高経営責任者(CEO)である潘寧氏は同日の会見で、中国などは成長余地がまだあるとして、店舗数よりも質を重視した店舗網の再構築や、店舗と電子商取引(EC)の融合に取り組むとした。
グレーターチャイナでの店舗数の規模を縮小することはないとしたうえで、月商が低い店舗をスクラップし、より良い立地へ大型店舗を出すなど再編を進める。中国本土での新規出店は厳選し、年間50-80店舗を見込む。
潘氏は2028年8月期にグレーターチャイナ事業の売上収益を1兆円とする目標は「確実に達成したい」と述べた。
(更新前の記事でヘッドラインを訂正済み)
(会見の詳細を追加して更新します)
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