(ブルームバーグ): バイデン米大統領が第1回大統領候補者テレビ討論会で精彩を欠き、知的鋭敏さを巡る不安が広がる状況で、民主党のシューマー上院院内総務が同党の大統領候補について、バイデン氏以外の人物への差し替えにオープンだと非公式に示唆したと伝えられた。
ニュースサイトのアクシオスが事情に詳しい関係者3人から情報を引用したところでは、シューマー氏は献金者らに対し、内々に候補者差し替えにオープンな意向を示したという。
一方、民主党の下院議員らの間では、81歳のバイデン氏に撤退を求める声が既に拡大していたが、現職の上院議員としては初めて、ピーター・ウェルチ氏が大統領候補差し替えに直接的に支持を表明した。ウェルチは米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、トランプ政権が再び誕生する危険性を警告し、「国益のために私はバイデン大統領に選挙戦からの撤退を求める」と訴えた。
民主党のペロシ元下院議長も10日、ニュース専門局MSNBCの番組で、バイデン氏に選挙戦にとどまるかどうか早急に判断するよう求め、決断を促していた。
ペロシ氏、バイデン大統領に決断促す-選挙戦継続への支持は表明せず
マイケル・ベネット上院議員も9日夜のCNNとのインタビューで、バイデン氏がトランプ氏に勝てるとは思えないと同僚議員らに話したことを明らかにした。

大統領の側近が10日に匿名を条件に語ったところでは、バイデン氏の立場は変わっておらず、党を率いて選挙に臨むつもりだという。
バイデン氏は選挙戦から撤退を余儀なくされるような有力議員の支持離れをこれまで回避してきた。しかし、民主党議員だけでなくハリウッドの著名献金者からバイデン氏に撤退を求める声が上がったことは、同氏の政治的立場がいかに危ういか浮き彫りにする。
つい数週間前にバイデン氏のための資金集めイベントを共同で主催した俳優のジョージ・クルーニーさんは、民主党は新たな候補を立てるべきだと主張。「この大統領では11月に勝つことはできない」と米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿した。
クルーニーさんは複数の上院議員や下院議員、州知事と不安について話し、民主党が上下両院の支配を失うとの認識を誰もが示したという。

11月の米大統領選でトランプ前大統領を破る能力に他の上院議員らが懸念を表明する中でも、民主党のシューマー上院院内総務は、バイデン氏を公に支持する立場をこれまで堅持してきた。
アクシオスの報道について尋ねられたシューマー氏はブルームバーグ・ニュースに対し、「私はジョー・バイデン氏を支持している」と今週のキャッチフレーズ(標語)を繰り返し、「バイデン氏支持を公式にも非公式にも明確にした」とその後あらためてコメントした。
不安を抱く民主党上院議員らに対し、大統領再選を目指すバイデン氏のアドバイザーや選対組織幹部が11日に説明を行う予定だ。ベネット上院議員は選対幹部らとの会談に期待しているとしながらも、「10日前に開くべきだった」と述べた。

バイデン大統領の陣営にコメントを求めるメッセージを残したが、これまでのところ返答はない。シューマー氏のスポークスパーソンもコメントを控えた。
民主党のブルーメナウアー下院議員も「バイデン氏は民主党の大統領候補になるべきでない」との声明を発表した。アクシオスの記者が、入手した声明の内容をX(旧ツイッター)に投稿した。
原題:Pressure on Biden Mounts as Senate Democrat Calls for New Ticket(抜粋)
--取材協力:Christian Hall.
(ハリウッドの著名献金者の動きなどを追加して更新します。更新前の記事は人名をベネット上院議員に訂正済みです)
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