11日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台半ばでもみ合い。日米の株高を背景としたリスク選好の流れから、低金利の円を売ってドルを買うキャリー取引の需要が根強い。一方、日本時間夜に発表される米国の消費者物価指数(CPI)が予想を下回った場合、米国の早期利下げを意識したドル売り・円買いが強まるリスクは警戒されている。

  ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは「前日の海外では株高によるリスクオンのキャリー取引が活発化しており、円売りが強かった」と指摘。一方、市場では米国の利下げ開始が意識され始めている面もあり、「コアCPIが前月比横ばいともなれば、いよいよインフレ鈍化で利下げとのムードになる」と述べた。

  

  10日の海外市場では米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言にサプライズはなく、市場での9月の利下げ織り込みは7割程度で維持。円はイングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミストの発言を受け対ポンドで売りが加速し、対ユーロでは最安値を更新した。対ドルでも一時161円80銭台と3日に付けた約38年ぶりの安値(161円95銭)に近づく場面があった。

英中銀、利下げ時期は依然「未解決の問題」-チーフエコノミスト

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「世界的に金利が下がらない中で株式市場が堅調で、特に日本株高の場合は円キャリー取引の需要が高まりやすい」と言う。 11日の東京株式相場は3日続伸し、日経平均株価が初の4万2000円台に乗せた。

  ソニーFGの森本氏は、米利下げ観測の高まりで株価が上昇すれば、リスク選好の流れからクロス円が上昇し、ドル・円もつられて買われやすいと分析。「利下げ期待でドルが一方的に売られる展開にもなりにくい」と話している。

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