(ブルームバーグ): 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が5日発表した2023年度第4四半期(1ー3月)の運用収益はプラス9.5%の21兆3863億円と四半期ベースで過去最高となった。世界的な株高が寄与した。
1-3月期の資産別の収益率は、国内債券がマイナス0.6%、外国債券がプラス5.4%、国内株式がプラス18.2%、外国株式がプラス15.8%だった。この結果、23年度の運用収益はプラス22.7%の45兆4153億円と3年ぶりに過去最高を更新した。
会見した宮園雅敬理事長は「強い追い風に乗った」と振り返った上で、「市場動向によっては強い向かい風を受けることもある。マーケットの変動についていき、基本ポートフォリオを維持していくことに尽きる」と述べた。

3月末時点での運用資産額は245兆9815億円と過去最高となった。ただ、ドル換算では1兆5300億ドルとなり、ノルウェー政府年金基金グローバルの同時点での資産額17兆7190億ノルウェークローネ(約1兆6770億ドル)を下回った。足元でドルに対して約38年ぶりの安値圏に沈む円安が影響し、ドル換算での資産価値が目減りした形で年金基金として世界最大の地位を失った。
宮園理事長は「為替相場によって変動はある」とした上で「1番、2番に関わらず規模にふさわしい被保険者の期待に応えられる運用を行う」と述べた。
GPIFは国内外の債券や株式に幅広く投資しており、運用成績は市場そのものの動きと重なる傾向が強い。1-3月の日本株市場では日経平均株価が史上最高値を更新し、運用収益を押し上げた。
北米や先進国、日本の3地域で株式アクティブ運用の強化に乗り出したことに関しては、同運用による23年度の超過収益は約1300億円だったとして「まずは順調な滑り出し」と評価した。
1ー3月期の世界の株式で構成されるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは7.8%、S&P500指数は10%上昇、日経平均株価は21%上昇した。一方、10年物米国債利回りは32ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、同日本国債の利回りも約11bp上昇した。
--取材協力:梅川崇.
(見出しと構成を差し替え、理事長コメントを追加するなどして記事を更新します)
More stories like this are available on bloomberg.com
©2024 Bloomberg L.P.