(ブルームバーグ): 7日に行われるフランスの国民議会(下院、定数577)選挙の決選投票でマリーヌ・ルペン氏率いる極右の国民連合(RN)の過半数獲得を阻もうと、ライバル政党が結束、合計223人の候補者を引き揚げた。票の分裂を避ける狙いで、RNは厳しい戦いを強いられそうだ。
内務省が3日発表したデータによると、決選投票に2人以上が進んだ選挙区からマクロン大統領の中道グループは76選挙区で、左派連合の新人民戦線は130選挙区でそれぞれ候補者を撤退させた。これで決選投票が三つどもえの争いとなる選挙区は当初の306から89に減少し、RNは214の選挙区で競合陣営が一本化した候補と戦うことになる。四つどもえの選挙区も2つある。

米金融大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのクオンツチームが約200の選挙区で候補取り下げがあるとの仮定で行ったシミュレーションによると、RNが議会過半数や組閣に十分な議席を得る公算は小さい。
「選挙区の割り当てや政治的姿勢の距離を巡る仮定、候補者の撤退を考慮に入れて分析したところ、現在の世論調査が示唆するよりもRNの選挙結果は芳しくない見通しになる」と、ストラテジストのモヒト・クマー氏とドミニク・ウィニツキ氏がリポートで指摘した。

これに対してRNは、過半数を確保するための協力相手を模索している。過半数を得れば、年金改革の撤回、付加価値税の引き下げ、外国人に対する一部の援助の削減を含む同党プログラムの実施が可能になる。
RNのジョルダン・バルデラ党首は3日に掲載されたフィガロ紙とのインタビューで、「われわれは絶対多数を確保する」と宣言。「この選挙で敵対するすべての政党が掲げる唯一の目標と野望は、私の勝利を阻止することだ」と主張した。
同氏は、必要な289議席を獲得するために中道右派の共和党と接触する用意があるという。共和党がマクロン氏や極左の「不屈のフランス」を率いるジャンリュック・メランション氏を含む連立政権に「満足できるはずはない」とみている。エリック・シオッティ氏を筆頭とする一部共和党員は、すでにRNと同盟を結んでいる。
「多数派を拡大する必要があれば、そうするつもりだ」とバルデラ氏は語った。

RNは絶対多数を狙える唯一の政党で、同党が過半数が確保できなければハングパーラメントとなる。その場合はマクロン大統領が引き続き外交の主導権を握り、内政を担当する首相の人選でも妥協しなければならない。
狭まるフランスの選択肢、極右内閣か議会こう着か-視界不良の時代へ
候補者調整が「成功したなら、極右の勝利を阻止することが可能だという証拠だ」とアタル仏首相はラジオ局フランス・アンテルに語った。
社会党のオランド前大統領はラジオ局フランスアンフォ・ラジオで、RNが過半数を占めるリスクは「最小化されたが、回避されたわけではない」と警告した。
3日のフランス10年債は小幅上昇。2日は2週間ぶりの好パフォーマンスだった。フランス株の指標のCAC40指数は反発し、一時1.6%上昇した。
原題:Le Pen Seeks Majority as Rival Groups Team Up to Stop Her (1)、Le Pen’s Rivals Land Blow in Bid to Keep Far Right From Power(抜粋)
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