日本に移住し、英会話の講師として働きながら漢字を石に彫る「てん刻」に魅せられたアメリカ人男性がいます。てん刻と出会った山口県岩国市で、講師として独り立ちする日に向けて修業を重ねています。

ザッカリー・ローレンゼンさん(34)
「この石はとても柔らかいです。削りかすが大きくならない。とても柔らかい」

彫刻刀を手に石に向かうのは、ザッカリー・ローレンゼンさん。みんなからザックと呼ばれています。
ザックさん
「深く切り込まなければなりません。紙に押したときにインクがはみ出ないようにしないといけないから」
出会いは5年前、岩国で
ザックさんが彫っているのは、てん書体という文字を石に刻む「てん刻」です。ザックさんは5年前、岩国に移住してきててん刻と出会いました。

ザックさん
「アメリカ人は署名だけなので最初は印鑑やてん刻の意味もよくわかりませんでした。石を彫ったてん刻印を紹介されてとてもおもしろいなと思い、学ぶうちに引き込まれていきました」
「日本篆刻の祖」は岩国にゆかり

てん書体は秦の始皇帝が国を統一したときに創った文字です。中国では14世紀ごろ、画家や書家がてん書体を石に刻んで作品にするてん刻が、芸術へと高められていきました。
日本に「てん刻」を伝えたのが、独立性易(どくりゅうしょうえき)という明の僧でした。医師として岩国藩に招かれ城主に錦帯橋建設のヒントを与えたとされる人で、「日本篆刻の祖」とも言われています。