山口県阿武町が誤って送金した4630万円をネットカジノに使ったとされる田口翔被告(24)の初公判で明らかになった事件のいきさつを振り返ります。

起訴状によりますと田口被告は4月、阿武町から振り込まれた新型コロナの給付金4630万円を誤ったものと知りながら、決済代行業者の口座に振り込むなどして不法に利益を得たとされます。警察の調べでは、田口被告は業者に決済代行業者に送金した金の全てを、ネットカジノに使ったということです。

電子計算機使用詐欺の罪に問われている田口被告の初公判は、10月5日に山口地裁(山口市)で開かれました。

田口被告初公判の法廷(山口地裁)

田口被告は髪を後ろに束ね、黒いスーツ、白いワイシャツ姿で、深々とお辞儀をして法廷に入りました。

午後3時、裁判が始まります。検察官が読み上げた起訴状に対し、田口被告は「振込操作をしたのは私であり、まちがいありません。大変申し訳ないことをしたと思っております。法律については弁護士の先生にお願いします」と述べました。田口被告の弁護人は、事実関係は争わないが、罪の成立について争うとしました。

初公判の廷内スケッチ

冒頭陳述と証拠から検察は、事件の経緯を説明します。

20歳からネットカジノ「金を賭けないとドキドキワクワクがない」

田口被告は20歳で建築業に就きますが、毎日パチンコやネットカジノをしていて借金が増えました。債務整理をした上で2020年10月ごろ、阿武町が人口減少対策として行った空き家バンクを利用して、阿武町に引っ越してきました。収入は17万円程度あり、祖母や母親が金を管理していたということです。ネットカジノではブラックジャックやポーカーをしていて「お金をかけないとドキドキワクワクがない。お金をかけると真剣勝負でストレス発散できた」と説明したということです。