ある日、田口被告の口座に4630万円


田口被告は、町が新型コロナのによる生活支援の目的で、1世帯10万円の現金を給付する臨時特別給付金の支給対象となったため、手続きをしました。4月8日、町から田口被告の口座に、給付金10万円が振り込まれました。これとは別に、本来支給されるべきではない4630万円が誤って振り込まれました。
※なお町の説明によると、町民の多くが振込先を地元の地方銀行に指定していましたが、田口被告は都市銀行に指定しており、その銀行の金融機関コードが一番小さかったため、田口被告に誤って振り込まれたということです。

8日午前9時50分ごろ、入金を取り扱った銀行の担当者が、町に誤った振り込みではないかを問い合わせたことで町が事態を把握。阿武町の職員が田口被告に電話をしたものの出なかったため、午前11時15分ごろ、職員が田口被告の家に行き誤振り込みを伝え謝罪しました。金を返すには、田口被告が自宅から約100キロ離れた宇部市内の銀行に行って手続きをする必要があるため、町職員は一緒に銀行に行くよう求めました。

返還手続きのため銀行へ・・・

田口被告は、町職員が運転する車に乗って移動し、午後2時半ごろ銀行に到着しました。すると田口被告は態度を一変させ、手続きに応じなかったということです。田口被告は町職員と、山口市内で別れました。

田口被告はこの日の夕方までに、自分のスマホを操作して銀行のインターネットバンキングで残高を確認し、誤った振り込みがされていることを知りました。そして18日までの間、34回にわたって計4632万5762円をオンラインカジノの代行決済業者にスマホから振り込み、オンラインカジノに金を賭け、全てを使ったということです。田口被告は町職員から、何度も金を返す手続きをするよう求められましたが、結局は手続きには応じませんでした。

阿武町は、田口被告に税の滞納があったことから4月19日、国税徴収法に基づく財産調査の一環として、田口被告の口座の明細を入手したところ、金がすでに振り込まれてなくなっていることが判明し20日に警察に相談。田口被告は2日後警察に出頭し、犯行を認めたということです。

「町職員の対応に不満と怒り」

田口被告はオンラインカジノで使った動機について「町職員がこの件で職場に来るなどして、対応に不満と怒りを感じていた。楽しいことをしたい、ストレス発散をしたいと思い、金を使って以前も使っていたオンラインカジノで遊ぼうと思った。ブラックジャックをしている間は嫌なことを考えなくてすむ」(供述調書より)と警察に説明したということです。

田口被告は誤振り込み当日、車での移動中に町職員から説明もなく、到着して質問をしたが具体的な回答がなく、不安が募っていったと説明。銀行で町職員に「詐欺ではないか?」など問うたということです。

被告人質問で検察官は・・・