災害が起きたときの避難について考えたいと思います。
いざという時、どこに避難するのか、どうやって避難するのか考えている方も多いかと思うんですけれども。実際に避難しようと思っていても・・・
避難所で密になりたくないとか、子供が迷惑をかけてしまうのではといった理由があって、避難したいけどできないと、心配事が人によって様々あるのではないかと思います。
そこで注目されているのが車中泊での避難なんです。
先日車中泊での避難を体験する会があったんですが、この会を坂本さんが主催されたんですよね。
会を主催した気象予報士・防災士 坂本京子さん:
「そうですね。ただ車中泊っていうとレジャーのイメージってすごい強いと思うんです。アウトドアブームでですね、ただ、レジャーのキャンプとは全然違うんですよ」

坂本さん:
「レジャーの場合は楽しいし、事前準備がたっぷりできて、帰りたくなったらいつでもやめることってできる・・・子供がぐずってきたなとか、飽きてきたなっていうときに帰ろうかってできますよね。でも災害時の車中泊というのは、緊急に起こって大きな不安とストレスを抱えながら、体調も万全でないかもしれません。そして、やめたくてもやめられない。また犯罪ですとか、事故に巻き込まれることもありますので、非常時の車中泊は実はリスクもたくさんあるんです。そこで今回は、指定避難所の駐車場で車中泊をするというような想定でこの訓練を行いました。」
山口市の湯田自動車学校で開かれた会には、車中泊での避難を体験しようと、およそ70人が参加しました。

発達障害やアレルギーがある子の親など、災害時に避難所で過ごすことに不安な人が、車中泊をできるようにと開かれたものです。
まずは講義から。シートに座りっぱなしなど同じ姿勢で長時間いると、血液の流れが悪くなって血栓ができる、エコノミークラス症候群のおそれがあるなど、車中泊で気をつけることを教わりました。

外では、山口トヨペットや、モンベル山口店が、避難したときの過ごし方を提案しました。寝袋などの貸し出しもあり、参加者が使い勝手を確かめます。自分の車でも実際にシートを倒し、理想の環境をつくろうとしますが・・・
参加した人:
「いままであまりやったことがないんでですね・・・」
車の使い方を聞いてみると・・
参加した人:
「あ、これフラットにならない?」
車中泊は、車内の凹凸をなくすのがコツですが、車によっては後部座席を真っ平らに倒せないものもあります。段ボールなどを使って段差をなくし、寝る場所を整えます。
別の参加者は、ふだんから孫を車の中で遊ばせているので、シートを倒すことには慣れているそうです。
参加者(光市から):
「私は光の出身なんで、以前豪雨があった近くだったものですから、防災のものは載せてます。水とかトイレとか非常食とか載せているんですけど、目隠しがなかったなということに気がついて。今度はそれを用意しないといけないなと思いましたね」
木村アナも取材用の車でやってみました。レバーを引けばすぐに倒れるタイプだったので、かかった時間はおよそ40秒でした。身長160センチの私が寝転がってみると・・・

木村那津美アナ:
「これで一夜明かすとなるとやっぱり個々に段差があるんですよ。ここが痛い」
クッションや寝袋、マットなどを事前に準備する必要性を実感しました。
身長170センチのスタッフだと、足を伸ばしきれずちょっと窮屈そうでした。
木村アナ:
「今回の防災ピクニックでは実際に炊き出しも行われています。皆さん車に持ち帰って、それぞれで食べてみます」

山口県立大学調理学研究室の学生による炊き出しです。メニューは豚丼にみそ汁、水ようかん。アレルギー反応の多い卵や小麦などを使わないメニューで、使った食材を書き出し、調味料はそのまま掲示しています。

こちらの家族は今年キャンプデビューしたそうです。キャンプテーブルが車の幅にぴったりです!

参加者:
「真ん中の子がアレルギーがある。アレルギーがあると災害が起きたときに食事も気になりますし、ぜんそくもあるので、ちり・埃が気になったら、もしかしたら車中泊を選ぶかなと思って参加してみました」

こちらは、テーブルが傾いているように見えますが・・・
備え付けのカー用品を使っているそうですが、味噌汁が傾いていて心配です。
家族の会話:
「食べづらい」「足がいたい。」「ここにタオルとか置いて平らになるようになったらもうちょっと楽に食べられるようになるのかなと思いますね」
実際にやってみることで、参加者はいろいろな気づきがあったようです。
今回その場所を提供してくださった湯田自動車学校の平佐慎治副社長は、「車中泊のニーズがあるというのを知らなかったん。災害時に県や市から要請があれば自動車学校の敷地を提供したい協力したい」と言われていました。
坂本さん:
「私達は車中泊のプロではありません。今回は湯田自動車学校さんと、山口トヨペットさん、モンベル山口店さんという、車とアウトドアのプロの専門家の方が一緒に協力してくれたということで、もうよりわかりやすく、より専門的な企画になったと思います。皆さんもぜひまずは家の庭で、自分の車で車中泊をされてみたらどうかなっていうふうに思います。また地域の方々が、実は避難したくてもできないんだという、そういう声に寄り添って、そういう方を理解していただくように、そういったことが広がるといいなと感じます」