池坊で女性初の全米いけばな講師に

帰国後、華道を学び直し1995年、池坊で女性初の全米いけばな講師としてアメリカに派遣されました。外務省の事業としても世界各地に派遣されてこれまで延べ60の国や地域で生け花を指導。2010年から7年間、サンフランシスコで池坊北米支部の所長も務めました。
蔵重さん
「やっぱり花はね、共通のことばだと思います。あなたのことを思ってるわ、ありがとうっていうときにお花をあげるじゃないですか。悲しんでるときも、元気出してっていうのもお花ですし。ことばを超えたものがあると思います」
植物に感謝し社会や人生を描く

大型の作品はノコギリや電気ドリルも使って作っていきます。中心に据えられたマツ。自然に近い形を再現するため全体のバランスを見ながら枝を切ったり接いだりをくり返します。その作業には、生きている植物に手を加えることへの謝罪と感謝を込めます。
蔵重さん
「マツは絶壁にあっても必ず先がピッと上がるんですね。その感じをここにだしてます」
いけばなは、生けた人の生きざまや宇宙観を表現すると言われます。古木と若木、これから芽吹く草木との調和。ひと鉢の中に社会や人生が凝縮されていると蔵重さんは言います。
蔵重さん
「この自然にできたそりというか曲がりというか、ああ人生もこう山川あるし」
枝葉や花を切るときには迷うこともあります。
蔵重さん
「誰でも選択をしなきゃいけない時がいっぱいあるわけよね。あれー?って思うけど行くしかない。これがベストだったんだと思うように自分を持っていく。だって人生も一緒よ、こっちがいいかな、こっちがいいかなって選んだら、それがベストだと自分で思うように努力する。枝は切るけどそれで終わりじゃなくってそこから何かが生まれるんです」