「いけばな」といえば日本の伝統的な文化のひとつです。男性が担い手の中心だった30年ほど前、外務省や池坊家元から女性初の特別派遣講師としてアメリカに派遣され、いけばなの普及に尽力した女性が山口県岩国市で活動しています。いけばなでみずからの人生を切り開き、今もいけばなの可能性を追求し続けています。

蔵重伸さん(77)
「おはようございます」

池坊華道会特別嘱託講師の蔵重伸さんです。年に1度、県内の支部が集まって開かれる池坊のいけばな展。アトリエで仕上げた作品を分解して会場に持ち込み完成させます。電動ドリルで穴をあけ、のこぎりで竹の支柱を切っていきます。「いけばな」というイメージからは少し遠い、設備工事の作業のようです。

蔵重さん
「花咲かばばあでこちらにサクラを咲かせます」

華道歴半世紀超、グローバルに活躍

池坊岩国支部の支部長も務める蔵重さんは、国立博物館に10年以上、正月のいけばなとして大作を展示してきました。華道歴は半世紀以上。アメリカをはじめ世界中に生徒を持つ国際派ですが、グローバルな華道人生は55年前、夫の転勤でアメリカ・ニューヨークに渡ったときに始まりました。

蔵重さん
「お花とフラワーアレンジメントの違いってなに?と聞かれて答えられない自分がとても恥ずかしくも、また悔しくもありました」

母親が華道と茶道の先生でした。華道は幼いころから身近にありましたが当時、隣に住んでいたイタリア人のフラワーデザイナーからの質問に答えられませんでした。それが、蔵重さんの探究心に火を付けました。