誰でも飲めるのか?副反応は?
加藤医師:
「花粉症はあくまでも鼻粘膜に花粉が届くことによって発症します。ですから飲むことによっては発症しません。スギの花粉を入れて慣らし運転するわけです。そして(花粉が)敵じゃなくて味方だよって体に覚えさせようとするのがこのお薬の仕組みなんです」
舌下免疫療法は、症状を一時的に和らげる薬剤とは異なり、時間をかけてアレルギー反応を根本から弱めていく治療法です。
女の子:
「甘くておいしい」「ジュワーってなる感じ」
母親:
「いつもおうち出るときに玄関に置いて、『飲んで行ってね』って。それで毎日服用してます」
錠剤は、口の中に入れると1分ほどで溶けます。
かとうこどもクリニックでは、この治療法を始めた半数が12歳以下だといいます。
加藤医師:
「昨年度から新たに(治療を)始められた方が49名いらっしゃいます。その中の約半数の24名が12歳以下の小学生以下のお子さんなんです。5名が未就学児いわゆる小学校入学以前のお子さんです」
花粉症の低年齢化が進んでいると加藤医師は話します。
加藤医師:
「私が医師になったのは1980年代なんですけどそのころから見ると明らかに低年齢化は進んでいると思います。間違いなく進んでいます。やはり食の多様化。それから環境、いわゆる排ガスとかそういう環境因子がわるくなっているんじゃないか推測されています」
実は加藤医師も、かつて花粉症の症状がありました。

2018年、薬の発売と同時に自身が第1号患者となって1年間治療を続けました。
すると。

加藤医師:
「私がとてもひどい花粉症の症状を持っておりまして、毎年つらい思いをしていました。2018年に発売と同時に私が自ら試そうということで、治療しました。翌年全く症状が出なかったんです。鼻炎も結膜炎も。これがすごいということで、花粉症で苦しんでいる皆さんにお勧めしようということで始めました」
その後、患者に治療をしてきた結果は。
加藤医師:
「2019年から4年間で約150名の方を治療いたしました。大体1年目に効果を実感された方、もうほとんど症状がないよっていう方も含めると(改善したのは)約80%です。これは驚くべき数字だと思うんですね。途中で止めると、免疫力がまた元に戻ってゼロからのスタートになりますので。効果が出たとしても3年は続けていただいて、免疫をつけていただきたいと思っています。まだ再発したという方はないです」
ことしで服薬2年目になる6歳の女の子。まだ少し目のかゆみや、鼻水の症状はあるものの、3年前と比べると格段に症状は和らぎ、治療の効果は確実に出始めているといいます。スギ花粉が飛散する時期は外で遊ぶのを控えていましたが、症状が軽くなってからは外で遊んでいます。
この薬は誰でも飲めるのか?
副反応はないのでしょうか?
一般的に、のどや耳のかゆみ、不快感など残る人がいるそうですが、服用しない場合と比べると症状も軽く、次第に消えると話します。
もちろん個人差はありますので、注意点として初回は医師の監督の下で服薬し、副反応がひどい場合には服薬しないことも必要だといいます。また、5歳未満と65歳以上は服用できないということで、女の子もこの薬は5歳から飲み始めたということです。

一方、この薬は、花粉が飛散する時期に服用を始めると、かえって症状が悪化する恐れがあるということで、今からの服用は難しいのです。花粉の飛散がおさまった6月ごろに服用を始め、3年から5年は服用を続ける必要があるといいます。

富山県森林研究所によりますと、今年の花粉の飛散は例年よりやや少なくなる予想ですが、雨や風といった気象状況によって飛散量が変わるということです。