去年4月から行方がわからないままの妻

その中の一人、富山県砺波市の島田幸子(しまだ・さちこ)さん78歳。去年4月5日に、自宅から行方不明になりました。島田さんの自宅を訪ねると…。

行方不明になった島田幸子さんの夫:
「警察に事件があったり、新聞に載ったり、何かあったりしたら問い合わせたりしとるけど、該当せんし、情報もないし…」

島田さんの夫が取材に応じました。行方不明から10ヶ月、居間には妻の写真が飾られていました。あの日、妻の島田幸子さんは、納屋で畑仕事をしていた夫に「何してるの?」と声をかけたあと、自宅から“消えた”のです。

その直前、異変があったといいます。妻は「私だけなんでこんな思いをしなければならないの…」などいつもと違う発言をしていたといいます。
認知症だったかどうかはわかりません。

行方不明になった島田幸子さんの夫:
「幸子いうもんやから、さっちゃんと呼んでいた。若い時は体も元気やったし田んぼもしてくれて」

妻の島田幸子さんは、人付き合いもよく、明るい性格だったといいます。夫は帰りを待ち続けています。

島田さんの夫:
「会いたいって思ったって、そんなもん会える手がかりというか、情報がないし、もしどこかで生きてるんやったら、何か家に連絡ぐらいできると思うがやちゃ。いつか夜中でも、誰もおらん時にでも、1人で帰ってくるか、誰かに連れられてでも帰ってきてくれんかなと思って」

女性の方が認知症になりやすい現実

富山県で2021年に行方不明になった70歳以上の高齢者は322人。富山県警は男女の内訳を発表していません。

一方、今月までの過去1年間に県警が発した高齢者の行方不明に関する「報道連絡簿」を調べると、行方不明の連絡があった47人のうち25人は女性で、男性は22人でした。女性の方が行方不明になるケースが多い可能性があります。関係していると思われる理由の1つが、認知症になるのは女性の方が多いという現実です。

2019年に厚生労働省が発表した「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」によると、70代前半までは男女で認知症の有病率に差はありませんが、75歳を超えると女性の認知症の有病率が高まっていき、85歳から89歳で男性35.6%、女性48.5%。90歳以上だと男性が42.4%、女性は71.8%と、大きく差が開くのです。