富山地方鉄道の鉄道線再構築の前提となる事業方式をめぐり、県と沿線7市町村は29日夕方に開かれた再構築検討会で、線路などインフラ設備を地鉄側が所有したまま、維持管理費の一部を行政側が負担する「みなし上下分離方式」に来年度から移行する方針で合意しました。会議の終了後、富山地鉄の新庄一洋社長は、今回の決定を受けて一部区間の廃線手続きは行わず、全線を存続させる意向を表明しました。今後は再構築に向けた具体的な案を検討する見通しで、存廃議論は一定の区切りを迎えました。

富山県の新田八朗知事と沿線7市町村のトップは29日に再構築検討会を開き、再構築事業の前提となる事業方式のあり方について協議しました。

県からは、現在地鉄が単独で経営している鉄道線全線の事業方式について、来年度以降「みなし上下分離方式」に移行する案が提示されました。

「みなし上下分離方式」とは、車両の運行(上)と、線路などのインフラ部分(下)をいずれも事業者側である鉄道会社が所有したまま、行政側がインフラ部分の維持管理費を財政支援するものです。

車両の運行(上)を事業者側が担当し、インフラ部分(下)を行政側が所有する「上下分離方式」とは異なり、所有権移転などの手続きが不要であることや、安全管理において事業者側のノウハウを活用できるメリットがあります。

また、県はインフラ部分の維持管理費について、来年度から10年間で78億円かかると試算していて、このうち半分にあたる39億円(年間3.9億円ペース)を地鉄側が負担し、残り半分を県と沿線7市町村全体が「1:1」の割合で負担する案を提示し、大筋で了承されました。

沿線7市町村側が負担する19.5億円(年間1.95億円ペース)の自治体ごとの負担割合は、今後市町村の間で継続協議となります。

会議の終了後、取材に応じた富山地鉄の新庄社長は、今回の決定を受けて、地鉄側が2026年11月ごろまで先送りしていた廃線判断をとりやめ、全線を存続させる意向を表明しました。