30日、富山県南砺市の世界遺産・菅沼合掌造り集落で、かやぶき屋根の観光施設が燃えた火事で、消防隊の到着を待つ間、消火にあたったのは集落の住民たちです。伝統の「結(ゆい)」の精神で文化財を守り抜いた、緊迫の初期消火を取材しました。
「うわ。煙いっぱい出てきた」
出火したかやぶき屋根に一斉に放水され、描かれた水のアーチ。地域住民が放水銃で初期消火にあたった火災発生直後の様子です。

上瀬航志記者
「火事があったとされる菅沼合掌造りの集落です。黒く変色したかやぶき屋根に、白い煙が立っています」
30日午後1時ごろ、南砺市菅沼の合掌造り集落にある観光施設「塩硝の館」の屋根から出火しました。「塩硝の館」は、江戸時代に五箇山で盛んに製造された火薬の原料「塩硝づくり」の道具などを展示している歴史ある建物です。

今回、全焼や周辺への延焼を免れた背景には、住民たちの素早い対応がありました。
菅沼集落に住む 中島瑛翔くん
「家の中にいて森林組合の人が消火器を取りに来た時に起動ボタンを押しに行って」

火災発生直後、放水銃の起動ボタンへと走ったのは、集落に住む小学6年生の中島瑛翔(なかしま・えいと)くんです。
中島瑛翔くん
「火を見ながら、ここ(カバー)を割ってボタンを押した」

このボタンを押すと、集落全体にサイレンとパトランプで異変を知らせると同時に、放水銃を使うためのエンジンがかかります。
瑛翔くんがボタンを押したことをきっかけに集落に24か所設置されている放水銃のうち7基から、住民たちが一斉に放水を始めました。
中島瑛翔くん
「この村の人がボタンを押して放水銃を開けて水を出したりする訓練。役立ってよかったなと思ったしけが人がいなくて安心した」

菅沼集落では毎年11月、地元住民や消防団が放水銃を使った消火訓練を行っています。



燃えやすいカヤでできた屋根は、一度火がつくと一気に燃え広がる恐れがあるため、建物を水で覆う「水の壁」を作るなど、万が一への備えを徹底していました。


瑛翔くんの祖父 中島慎一さん
「日々の訓練をやってることが今回生かされたなと思ってます。いざという時にその訓練の賜物で小さい火事で終わったなと」

南砺市によりますと、出火の原因は、かやぶき屋根の修復作業中に多数のハチがいたため、スプレーと電気ラケットで駆除しようとした際、引火したものとみられます。
初期消火には住民のおよそ半数が参加。
その結果、「塩硝の館」の内部の展示物などへの影響は最小限に抑えられたとみられます。
瑛翔くんの祖父 中島慎一さん
「本当にみんなで助け合って「結」の精神で教え合いながら消火に関しては消防団や消防署員と違ってプロではないので見よう見まねでやった感じですけど。集落一丸となって消火活動した形です」











