駆け落ち60年、パーキンソン病の妻と向き合う…
34歳の時、絵を売り込みに行ったニューヨークで挫折を経験。唯一無二の表現を追い求めて鉛筆画の世界を切り拓きました。

中学時代の恩師・河西さんは、木下さんの作品について。
河西修子さん
「内面と言うかね、内面をえぐり出しているような感じがするので。中身から何から何まで全部えぐりだされるような感じです」

神奈川県相模原市の自宅で、木下さんは、妻・君子さん(77)の介護をしています。君子さんは、体が思うように動かなくなっていくパーキンソン病です。

出会いは木下さんが23歳の時。貧乏な画家との結婚を君子さんの親に反対され、2人は駆け落ちしました。

鉛筆画家 木下晋さん
「もう富山だめだと思ったから誰でもよかったんだよ、本当はな」「北海道ちゅう感じで、食堂で箸を倒したら、やっぱり北の方に倒れたからさ」

記者
「君子さんがお金用意したんですか」
木下晋さん
「こいつが用意した。俺、金なんかあるわけないじゃん」
妻・君子さん
「貯金みんな引き出して」
木下晋さん
「10万円ぐらいやったな、当時な」
記者
「君子さん、大変な人生ですか」
妻・君子さん
「面白い、面白い、面白かった」

今、木下さんの作品のモデルは、君子さんです。

鉛筆画家 木下晋さん
「こういう普通の人の顔を描くのは大変。これだと、しわあっても単なるしわなんですよ。だからそこの難しさはあるよね、メッセージにならないわけですよ」

木下さんは、日々、目の前にある「いのち」と、向き合っています。



木下晋さん
「何したいの?トイレか?何?しゃべりなさい、何?しゃべらなきゃ、なんだい」
妻・君子さん「お茶…」

2015年に君子さんのパーキンソン病がわかり、2019年ごろから介護が本格化。木下さんはベッドの横で君子さんを描き続けています。
鉛筆画家 木下晋さん
「普通の人が病気になって、やがては死んでいくんでしょうけど、その時に初めてある種の命のプロセスというか、絆というか、そういうものに気づかされていく」

木下さんが、この冬描いた君子さん。
しわの一本一本に、2人で重ねた時間が刻みこまれているようです。

鉛筆画家 木下晋さん
「まだ試行錯誤の途中だね。まだこれからもっと長い時間付き合わざるを得ないんじゃないかと思うよ、この人とは。なっ」

妻・君子さん「けんかしなきゃいけない」
木下晋さん「ま、そんな感じよ」











