クルミも簡単にかみくだく、アゴの強い力

その「草食中心の雑食」であるクマは、一体どれほどの力を持っているのでしょうか。白石学芸員が見せてくれたのは――

白石学芸員
「クマが好んで食べる野生のクルミ、オニグルミの実。ちょっと出してみますとこれがもとの姿ですね。ちょっと持ってぎゅっと握って。これつぶせますか?」
髙島未帆記者「潰そうと頑張ってみます」
白石学芸員
「かじっていただいてもいいですけど」
髙島記者「かじる?」
白石学芸員「はい、かじって粉砕」

実際に記者がかじってみると――

髙島記者「ちょっとこれ歯かけますね」

そして白石学芸員が見せたのが、クマがかじって粉砕したオニグルミ。

髙島記者
「見事粉砕されていますね、かなりの力じゃないと無理じゃないですか?」
白石学芸員
「そう、かむ力大変強い」

人間の歯では到底太刀打ちできないオニグルミを、いとも簡単に粉砕するクマのアゴ。

その力は時に私たちが山に残した「人工物」にも向けられます。

白石学芸員
「これらは野外でツキノワグマがかじったものの実物です。ビールの缶は中身が入っている状態でかじられている。クマは “空き缶などを通じてこの空間の中に栄養のある液体が入っている” と学んでしまっているのかもしれないし、鼻も犬の数倍良いといわれているから、もしかしたら缶の封が空いていなくても中身が食べ物だと分かるのかもしれない。そもそも森になかった珍しいもの、新奇物に対して関心を示すことがある。調査用に森の中に杭を立てて自動撮影カメラを設置したところ、杭がクマにかじられた。杭はそれほど固い木ではなかったが、一瞬で粉砕された」