17分間の時系列が示す警察対応の問題点

事件当日、最初の通報から中村さんの夫が殺害されるまでの17分間は次のように経過しました:

■午後2時7分:交番相談員による警察電話

■午後2時10〜11分:美容室からの110番通報

■午後2時13分:警察官が現場到着

■午後2時20分:中村さんの夫が正門へ移動

■午後2時24分頃:発砲

争点となったのは、奥田交番にいた交番相談員から通信指令室に最初の通報があった午後2時7分から中村さんが殺害される午後2時24分までの17分間。原告側は奥田交番に到着した警察官から「犯人が現場にいない」との報告を受けた時点で、逃走中の犯人から近隣住民や通行人を守るための警告を発するべきだったのではないかと主張していました。

これに対し富山地裁は、拳銃が奪われたことを警察が認識できたのは午後2時20分から23分頃であり、それ以前の時点では被害者や通行人に拳銃を発射する具体的危険性があるとは認識できなかったとして、通信指令官の不作為を否定しました。

中村さんはこの判断に疑問を呈し「110番通報の中で相談員の方がもう既に拳銃発砲されたということを言っているのに、拳銃が関わっていることを通信指令官は理解していたはずだ」と指摘します。拳銃奪取の認識が「2時20分から23分頃というのは明らかに遅い」と批判しました。

清水弁護士も「通報を聞いていれば、これは明らかに最初からこう拳銃が発砲されている事件だという扱いになるはずで、そこがスタート地点になるべきだった」と主張しました。