富山県氷見市を舞台にした朗読劇「真白の恋」が11月26日上演されます。朗読劇ならではの見どころや、作品にかけるキャストの思いを取材しました。
朗読劇「真白の恋」が富山に先駆けて11月3日から東京で上演されました。
「お前、真白に何したんだ」
「何したんだって聞いてんだよ」
「障害者だと思って、この子が何もわかってないと思っているのか」
「油井、油井、油井、バイバーイ、バイバーイ…」
女性:
「すごく感動しました」
男性:
「とっても切ないお話」
女性:
「富山行かせていただきます」
「はじめまして渋谷真白です」
原作は、2017年富山市在住の坂本欣弘監督が、射水市を舞台にメガホンをとった映画「真白の恋」です。
軽度の知的障害をもつ主人公、真白の初恋を通じて家族の愛や葛藤、人々が成長していく姿を描いた作品です。
「なんで」
「せーの」
主人公・渋谷真白役は、朗読劇初挑戦の早見あかりさん。恋に揺れ動く真白の心情を繊細に演じます。
真白の初恋相手で、カメラマンの油井景一役は廣瀬智紀さんが務めます。映画の舞台は富山県射水市でしたが、朗読劇ではステージを富山県氷見市に移しオリジナルストーリーも盛り込みました。
「きょう晴れているから立山がきれいに見える」
早見さんと廣瀬さんは10月中旬、氷見市を訪れました。この伊勢玉神社は真白と油井の出会いの場です。
廣瀬智紀さん:
「成功祈願もできた」
早見あかりさん:
「できた!」
氷見沖のクルージングも朗読劇オリジナルのシーンとして登場します。
冷たい潮風を浴びながら富山湾の雄大さを体感し、朗読劇のイメージも膨らんだようです。
東京公演を3日後に控えた立ち稽古。緊張感が漂います。
真白:
「うわーすごい」「きょうは晴れてるから立山がきれいに見える」
早見あかりさん:
「脚本のストーリーが、氷見に行かせていただいたことによって自分の中で想像が膨らんで何倍にも。「あ、これこれわかる」っていうようなセリフを自分にちゃんと落とし込むことができて」
若いふたりの甘酸っぱい恋愛模様のほかにも、真白を想う家族の優しさと葛藤を通じて家族愛も描きます。
知的障害がある娘の父親を演じるのは富山市出身の俳優、西村まさ彦さん。
父:
「傷つけてないと思うか。手塩にかけて、大事に大事に育ててきた娘が。そんなどこの馬の骨ともわからん男にたぶらかされて」
厳格な父を演じますが、その一方で。
タモ:
「真白、散歩の時間だよ」
真白:
「うるさーい」
タモ:
「早く、早く散歩連れてって」
真白:
「うるさい。真白今ご飯食べてるから」
タモ:
「はじめまして。わたくし、生まれも育ちも富山の氷見、色は白色、犬種は柴犬、渋谷家の番人・タモと申します」
愛犬タモも、ユーモアたっぷりに演じます。ベテラン役者の巧みな一人二役にも注目です。
そして、真白のいとこ役を演じるのは元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の愛加あゆさん。
愛加あゆさん(渋谷雪菜役):
「真白ちゃんに1番近くて、姉妹のように仲良く理解し合える役どころなので、真白ちゃんを包み込めるような存在でありたいなって思ってます」
動きの少ない朗読劇ですが、作品の世界観を表現するため細部までこだわります。
「おかしくないんですけど…(立ち位置)Nのままのほうがいいんじゃないですかね」
西村まさ彦さん:
「距離感なんですよね。限られた時間の中でお客様に楽しんでいただけるものを探っていくっていう、集中できる感覚っていうのはなんだかいいなと思っています」
そんなキャストのこだわりが詰まった朗読劇「真白の恋」。富山公演に先駆け行われた東京公演にはたくさんの観客が詰め掛けました。
女性:
「新たな恋の物語を感じられたなって思いました」
男性:
「お父さんの気持ちなんかも私も娘がいますから非常によくわかります」
女性:
「普通って何だってとても感じられて日々を見直そうかなと思いました。」
富山公演は26日土曜日、富山県氷見市芸術文化館で上演されます。
早見あかりさん 廣瀬智紀さん:
「1人の少女の初めての恋を精一杯演じたいと思います。美しい海が広がる氷見市を舞台に地域に密着した朗読劇です。ぜひ劇場にお越しください」