国の承認書と異なる方法で医薬品を製造していたとして、富山県から行政処分を受けた医薬品メーカー・廣貫堂は、14日から最大36日間の業務停止となりました。
記者:
「不適切な製造で業務停止となった廣貫堂。中には70年近く続く製品があり、配置薬業者にも影響が及んでいます」
富山県から業務停止命令を受けた富山市の医薬品メーカー・廣貫堂は、14日から本社工場はじめ3つの工場が最大で36日間業務停止となり、供給不足になる恐れのある医療用医薬品27品目を除き、製造をストップしました。
富山県から業務改善命令も受けていて、1か月以内に改善計画の提出を求められています。
国の承認書に違反した不適切な製造が発覚し、11月11日に県から行政処分を受けた廣貫堂。その日の記者会見で、廣貫堂の塩井貴晴社長は…。
廣貫堂 塩井貴晴社長:
「特に代表製品のひとつであります赤玉を製造中止品目としてあげさせていただきます」
「赤玉はら薬」をはじめ配置薬31品目について、販売数量の減少や製造設備の老朽化などを理由に製造を中止するとしました。
廣貫堂 塩井貴晴社長:
「当社廣貫堂、ご存知のとおり、配置薬で生まれて配置薬に育てられた会社だと社員も理解しております。よくご心配いただくような配置から撤退するんじゃないかということはまったくなく、現代の薬機法や将来の生薬の動向を考え安定供給可能な製品を市場に供給すべく現在も開発を進めています」
廣貫堂は1876年(明治9年)に配置薬業者らの共同出資で創業。「置き薬の富山」を代表する企業の不祥事の波紋は県内外の薬業界に広がっています。
富山県高岡市で配置薬販売業を営む2代目の澤田素枝さんです。去年10月の自主回収前まで8品目の廣貫堂の製品を扱っていましたが…。
配置薬販売業 澤田素枝さん:
「これが廣貫堂さんから今、全く入ってこない状況になりました。代替品を扱っています」
現在、取り扱っているのは1品目のみです。それでも、顧客の中には、廣貫堂の配置薬の根強いファンもいるということです。
配置薬販売業 澤田素枝さん:
「本当に信頼関係で成り立っている商売です。本当に私たち配置は問屋や製造メーカーを信頼して今までずっと営業しておりましたけど、そのトップのメーカーでこういった事態になりまして、その信頼関係が一気に崩れたような気持ちでおります」
そして、こう訴えます。
配置薬販売業 澤田素枝さん:
「一番お客様の声を聞くことができる配置員の言葉も聞いてほしい。そして、お互いに本当に信頼でこの商売をもっとこれからも『とやまの薬』として続けていけたらいいなと思っております」
一方、県外の配置薬業者からは業界全体のイメージダウンにつながると懸念の声があがっています。
辻井産業(大阪) 辻井康爾 社長:
「廣貫堂の薬は悪い、イコール配置薬が悪いことになっている。それは怖い。業界全体がそういう隠す体質言うんですか。分かっていても出せない。社長が知らないで通せる会社っていうのはあきまへんわ」
そして、廣貫堂の経営陣への憤りも隠しません。
辻井産業(大阪) 辻井康爾 社長:
「赤玉とか六神丸とか丸剤は、一錠に対する含有量がばらつきが大きい。だからそれは分かっていることで、経営陣の責任は大きいでしょう。一番大きいのは塩井保彦会長です」
富山県薬業連合会の中井敏郎会長は、今回の廣貫堂の不祥事に。
富山県薬業連合会 中井敏郎 会長:
「非常に遺憾に思っております。伝統薬だからいいや、ジェネリックだからだめよと、新薬だから強くやらなきゃとか関係ない。薬機法という法律の中でやっているんです。だから他の人が参入できない。法に守られながら、守らなければいけない、それが医薬品業界。越えたところは深く反省して改善しなくてはいけない」
中井会長は、廣貫堂には法令遵守の意識を強く持ち、富山の置き薬のブランド再建を目指してほしいとしています。
富山県薬業連合会 中井敏郎 会長:
「死に物狂いで再建してもらいたい。じゃないと、配置家庭薬の大きい柱がなくなってしまっているんですから。ありとあらゆる手を使って守ってもらいたいと思っています」