薬の富山を代表する製薬会社、置き薬の老舗・廣貫堂が国の承認と異なる方法で医薬品を製造していたとして、富山県は廣貫堂に11月14日から最大36日間の業務停止命令を出しました。

富山県くすり政策課 石田美樹 課長:
「業務の停止及び、業務の改善を命令しました」

富山県は、富山市の医薬品メーカー、廣貫堂に対して、医薬品医療機器法に基づき11月14日からの業務停止命令を出しました。

医薬品製造の停止期間は本社工場が最も長い36日間で、呉羽工場と滑川工場も業務停止となります。製造販売業の停止期間は29日間、ドリンク剤など医薬部外品の製造と販売にも業務停止の処分が下されました。

廣貫堂の不正製造は、去年10月に県が実施した抜き打ちの立ち入り調査で発覚。その後、国の承認書と異なる添加物を使用していたことや、製品出荷検査の一部を実施していなかったことなど相次いで違反が分かりました。

不備があった医薬品と医薬部外品はあわせて347品目にのぼり、このうち27品目で自主回収を実施しています。富山県は違反の発覚から処分まで1年以上を要した理由に3工場が対象で品目数が多く、違反が長期に及んでいたことなどをあげました。

富山県くすり政策課 石田美樹 課長:
「承認書を遵守するという認識の欠如と、全体として信頼性保証の体制というものが整備されていなかった。コンプライアンスの意識について、経営層を含め低かったのではないかというふうに考えています」

県は廣貫堂に業務改命令を出し、再発防止策などの改善計画を1か月以内に提出するよう求めています。

一方、今回の事態を受けて廣貫堂はー。

廣貫堂 塩井貴晴社長:
「弊社製品をご愛用している皆さま、配置薬業の皆さま、また、すべての医薬品業者の皆さま、ステークホルダーの皆さまに対して深くお詫び申し上げます」

不適切な製造行為の内容について廣貫堂は、承認書に記載のない原料を追加したり、記載した原料を添加せずに製造した事例など6パターンあったことを明らかにし、中には1954年から不適切に製造されたものもあるとしました。

廣貫堂 塩井貴晴社長:
「風土の問題が大きな問題だなと考えております。上から言うことに対してはものを言うことはできない風土。特に生産現場においてはそのようなことが強かったと聞いていて、私もそう思っております」

すでに退社している当時の役員や工場長は不適切行為を認識していたものの、塩井保彦会長や塩井貴晴社長まで報告はなく、2人は知らなかったとしています。

廣貫堂 塩井貴晴社長:
「会長が就任される以前から発生していた問題で、会長の時代に適切な処置を取れなかったということは、経営責任はあると思いますが、以前から発生していた問題だと認識しています」

行政処分を受けての対応については…。

廣貫堂 塩井貴晴社長:
「個人が悪い、誰かが指示をしていたという話ではありませんでした。個人が悪いというより、組織全体の問題だと捉え、組織の再生へ取り組むことがベストだと考えている」

廣貫堂は再発防止対策として品質管理ができるよう受託製造品目数を削減。ことし9月時点では176品目と過去最大時の6年前に比べて4割以下に抑え、年間配置卸売上は、28億円から9億円にまで減少しました。今年度の業績は大幅な赤字となる見通しです。