検証シリーズ旧統一教会と富山政界です。おととしの富山県知事選で、新田氏の選挙応援をさせられたと証言する元信者がいます。元信者は2か月前に教団を脱会、それまでの8年間につぼなどを繰り返し購入したといいます。

元信者の女性:
「天運石いうてこっち女性用です。240万円。こっちが男性用の天運石240万円…善霊堂はご先祖様たちが入るおうちなんです。安心して暮らせるように、ご先祖様のために安心して入ってもらえるように求めたらいいですよって言われて」

6年前、女性は240万円のつぼ2つを相次いで購入。4年前には「先祖の家」と呼ぶ善霊堂を80万円で購入しました。いずれも旧統一教会がコンプライアンス宣言をした2009年以降のことです。

富山県内に住む70代の女性。わずか2か月前に旧統一教会を脱会したばかりです。

元信者の女性:
「体には無数の悪霊がついていて、それをこのつぼに入れて天の父母様にお願いして霊を救っていただくがです」

つぼを勧めた教団の信者と、当時こんなやりとりも…。

元信者の女性:
「私、霊感商法みたいっていったら、あははって、ちょっと笑っておられたけどね。自分の家にもあるがで、あなたも求められたらって言われて」

女性が買った物品や献金のメモ。ネックレス28万円、先祖解怨48万円、祝福14.8万円。「全部なくなった」の記述もあります。

ことしに入ってからも献金を続け、入信してから8年間であわせて1500万円以上を使ったといいます。教団内ではお金を特殊な呼び方で呼んでいたそうです。

元信者の女性:
「数。数で。40数とか。100数とかやったら100万とか。いろいろ名目つけてね…そういう献金しましょうっていう感じで」

1万円を「数(すう)」と呼び100万円は100数(すう)と呼んでいたといいます。同年代の女性信者同士で献金について話をすることもあったそうです。

元信者の女性:
「献金、多いねという感じで。また言われたねという感じでね、はぁ…。また追加とか言われるし…」

中にはこんな人たちも。

元信者の女性:
「お金がなくなったから献金はできないって、そしたら生命保険とかないがけとかね。解約して献金しなさいって言われたり」「借金してでも(献金)したほうがいいとかね。息子の貯金、みんな出している人もおいでるから」

ことし1月に配られた教団の内部資料です。表紙には文鮮明夫妻が。

資料には「できるだけ自らの財産をはたいてしなければなりません」「土地を全て売って」などと書かれています。さらに「悪霊」の文字も。繰り返し恐怖を植えつけられたといいます。

元信者の女性:
「人間の体にはいっぱい。悪霊がいっぱいついてるがやって。無数についているから。救われるようにお祈りして…。疑いとかもったらね。地獄とかにどんと落ちるという感じで」

記者:
「地獄?」

これが地獄だとして映像を見せられたことも。

元信者の女性:
「水の中に顔だけいっぱい浮かんでいるのとかね。くさくて汚くて、なんとかって言われるし、やっぱこんなところは嫌やなという感じで、先祖の人もみんなね、そこにおるから救ってあげんなんとか言ってね。先祖解怨とかいわれるんです」

地獄にいる先祖を救うために献金を迫られたといいます。

元信者の女性:
「ご先祖様が喜ばれるからという感じでね。献金されたらいいよ、という感じで言われるもんで、なんか本当に上手に言われるから」

女性に対し教団が常に強調していたこと。

元信者の女性:
「真のお母様を、ビデオでいつもみて、これだけ頑張っておられますよという感じでね。聞かされて、みんなも一生懸命やりましょうって」

献金や物品購入のほかに女性は入信していた8年の間、選挙への支援も求められたといいます。

元信者の女性:
「教会長さんがみんなに言って。もちろん強制」「県知事の…」

選挙の応援にかり出されたひとつが、おととしの富山県知事選でした。

立候補表明の会見 新田八朗氏(2019年12月):
「私は富山県をもっともっと良い県にできると考えています」

これは元信者の女性が、別の選挙の際に作った名簿です。新田氏の応援では25人分の名簿を提出するよう求められたといいます。

元信者の女性:
「新田さん応援するから協力してくださいと。知り合いの方の名前と住所も電話番号も書いてくださいって言われて。年賀状を見てね、親戚とか友人とかの名前を書いて提出しました」

次に指示されたのが、いわゆる告示後の電話作戦。集められた場所は教会だったといいます。

元信者の女性:
「2階に部屋あるんですけど、そこで2回ほど行きましたかね。携帯とかも借りてきてやったり、固定の電話でなかった。この携帯で電話してくださいと、50人、60人に電話をかける。2時間ほど、名簿がいっぱいあるからね」

電話口でこう名乗るよう言われたそうです。

元信者の女性:
「『新田八朗の選挙事務所ですけど、今度の県知事選挙には、ぜひとも新田八朗を当選させてください』と。統一教会とか、家庭連合とかは言わなくて新田八朗の選挙事務所から電話しています」

記者:
「言うなといわれたんですか?」

元信者の女性:
「そうですね。言ったらダメだって」

信者たちは3、4人が2時間交代で電話をかけ続けたといいます。

新田知事はこれまでの会見で、旧統一教会側による選挙応援を認め謝罪する一方、多くの団体や大勢のボランティアから支援を受けていて教団側の支援は「ごく一部」としています。

元信者の女性の夫も新田氏に投票していました。

元信者の夫:
「(妻が)献金させられ、そして選挙にも駆り出され、信者から知人とかリストを集め、それ利用してるのは議員さんじゃないですか。新田県知事の場合ですね。私の意思で投票したものではありません。教団側の指示なんですよ。票を返してくださいよ」

元信者の女性は、新田知事の一連の発言をどう感じているのでしょうか。

元信者の女性:
「新田さんはなんか教会にあんまり悪いこといってはらん。それこそ信者の人がみんな献金でつらい目にあっている人が多いがに全然そのことを考えてくださっていないっていうのがちょっと気になりますね。関係を切ると言ってもらいたい」


※富山県知事選の告示期間中に旧統一教会の元信者が「教会から電話をかけていた」という証言について、新田知事の選挙応援を行っていた旧統一教会の関連団体、世界平和連合県本部は、電話は選挙事務所のみで行っていて、後援会名簿を持ち出して教会から信者が電話をかけることはないと否定しています。