「追い詰められた心境、一定程度考慮」懲役6年の判決
5日に開かれた判決公判。検察による懲役8年の求刑に対し、下山洋司裁判長は、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。
判決の理由について裁判長は、「相応に重量のある体重計を強い力で被害者の腰部に両手で振り下ろし、被害者が痛みを訴えているにもかかわらず、続けて複数回殴打した。けがをさせる危険が高い行為であることは明らかであり、被害者に左腸骨粉砕骨折という思い傷害を負わせている」、「実の娘である被告人から繰り返し暴行を受け、死に至る過程で被害者が受けた肉体的、精神的な苦痛は、非常に大きなものであった」と指摘しました。
一方で、「事件当時、認知症と腎臓病にり患した被害者と同居し、介護をしていたほか、経済的に困窮する中で、無職の妹とその娘に対する経済的支援をしていたことなどの不安やストレスによる苛立ちが影響した側面も否定できない」「このような生活状況に置かれ、それによって追い詰められた心境にあったことは、一定程度考慮する必要がある」と述べました。
そして、暴行自体の危険性や常習的な暴行の末の犯行であるという点で実刑事案の中で軽い部類ではない一方、犯行に至った背景に一定の酌むべき事情もあることから、重い部類であるともいえない、として、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。
判決理由が述べられる間、被告は前を向いて、時折小さくうなずきながら聞き、その後、静かに法廷を後にしました。