様々な物価の高騰が続いています。中でも、円安や世界情勢などの影響で、ウシに与えるエサの価格も高止まりが続いていて、宮城県内の畜産農家も依然として厳しい経営を強いられています。県内の酪農家を取材しました。

県北部、栗原市金成にある牛舎です。

酪農家 熊谷正幸さん:
「自分の子どものように接しているのでかわいい」

酪農を営む熊谷正幸さん(59)です。大学卒業後、父親の跡を継ぎ就農し、40年近く、毎日休まずウシの世話を続けてきました。現在は、妻・ゆりさんと夫婦2人で、乳牛およそ70頭を飼育し毎日、朝と夕方に搾乳を行っています。一日あたり、およそ900キロの生乳をしぼり、出荷している熊谷さん。コロナ禍で乳製品の消費が落ち込んだ上、飼料の高騰で厳しい経営が続いているといいます。

熊谷正幸さん:
「穀物を主体とした飼料価格が1.5倍位に値上げしているので、非常厳しい状況。今は貯金を切り崩してしのいでいるような状況」

熊谷さんによりますと、ウシ一頭が食べる一日のエサの量は、およそ20キロ。その半分以上が輸入に頼っているトウモロコシなど穀物の配合飼料です。特に、去年からはウクライナ侵攻や円安で飼料価格が一気に跳ね上がり、高止まりの状態が続いています。

一方で、飲用向けの生乳の取引価格は去年11月に、1キロあたり10円引き上げられ115円ほどになったものの、資材の物価高などによって収入の増加には繋がっていないのが現状です。

酪農家 熊谷正幸さん(59):
「いまはしっかり耐えて頑張っている。消費者の方には(牛乳を)飲んでもらえることが私たちの応援につながる」

コスト全体の7割ほどがエサ代という熊谷さん。依然として続く飼料価格の高止まりは畜産の経営に重くのしかかっています。

熊谷さんの家では、先行き不透明な経営状況が続いていることから10年ほど一緒に酪農をともにしてきた30代の長男が今年3月に酪農を離れ、新たに会社勤めを始めたということです。

そして、こちらは主要都市での1世帯あたりの牛乳の購入金額と購入数量のランキングです。仙台市は購入金額が1万4000円余りで29位、数量がおよそ70リットルで25位となっています。「みやぎの酪農農業協同組合」では、消費量を上げることが酪農家を助けることになるので牛乳を飲んで生産者を応援してほしいと話していました。