「昇格しろなんてとてもいえない」
野々村(当時の札幌は)J1には、ほぼほぼ上がれない予算規模。でも、社長になって何を目指すかを考えた時に、やはり多くの人がクラブに望んでいるのは「まずJ1に戻ること」だろうと。でも、そのためには売り上げが25億円とか30億円ぐらいまでいかないと、J1に上がれない。


経営者としては、一定レベルの売り上げも確保できていないのに「昇格しろ」なんて、とても言えない。だから、まずそのレベルに到達するためにどうしようかと考えました。中でも一番大事だと思ったのは、サポーターの人たちを“仲間”だとすることでした。
五郎丸
サポーターとの付き合いは、現役時代とは全く違ったんですか。
野々村
サポーターたちが「スタジアムの空気をよくつくってくれる」と、「結構勝てるな」という感覚を、現役時代の晩年、特に感じていました。社長に就任し、いろんなことを想像していく中で、サポーターの皆さんは仲間、簡単に言えば「社員みたいなものだ」と思うようになりました。

当時、コンサドーレの社員は30〜40人ぐらい。でも、コアなサポーターが5000〜1万人ほどついてくれていたんです。このコアなサポーターたちをパートナーとして捉え、1万人規模の会社だと思えば、結構やれるんじゃないかと思ったんです。