八木澤さんからバトンを受け取る人も 「八木澤さんは“憧れの存在”」
八木澤さんの思いは、次の世代にもつながっています。震災時、この園に在籍していた髙清水倖奈さん(19)。あの日、八木澤さんたちと一緒にコンビニの駐車場まで移動し、その後は迎えに来た両親と高台に避難しました。

<髙清水倖奈さん>
「(震災の園は)緊迫した状況だった気がします。(今は職員たちの)責任は本当に重かったんじゃないかと感じています」
大変な状況の中でも、八木澤さんたちは、震災の1か月後に、髙清水さんたちの卒園式を開催しました。その後も学校の職場体験などで交流が続き、八木澤さんが防災に取り組む姿を間近で見てきた髙清水さん。高校卒業のタイミングで、八木澤さんに手紙を渡しました。
つづられていたのは、「八木澤さんのような保育者を目指したい」という決意。今は岩手県内の保育士などの資格を取れる専門学校に通っていて、その背中を追いかけ続けています。
<髙清水倖奈さん>
「(八木澤さんは)ずっと憧れの存在。子どもたちが成長するのではなく、自分も一緒に子どもと成長していきたいと思っています」
八木澤さんは、少し照れくさそうにこう返しました。
<八木澤弓美子さん>
「頼むよ、バトンはつなぐよ。本当に頼もしいですよ。『あの時辞めなくて良かったな』とか。『あの時辞めようと思ってごめんなさい』と思ったりさ」