次の巨大地震に備えて、子どもの命を守るため必要なのは“信頼関係”

2024年2月、静岡市内で保育者などに対し講演をした八木澤さん。発災当初、静岡県ボランティア協会のメンバーが被災した園の泥出しなどに協力したことをきっかけに交流が続き、震災以降、静岡県内で防災について講演をした回数は、十数回に及びます。

「同じ思いをしてほしくない」

大きな被害が懸念される南海トラフ地震の襲来を想定し、「静岡の人にはとにかく生きていてほしい」「一人一人自覚を持って自分の命と大切な人の命を守ることに徹してほしい」。涙ながらに語気を強めて、日頃の備えの大切さを語っていました。そして、いざという時により良い行動ができるよう、日々考え続けることも大切だと強調します。

<八木澤弓美子さん>
「子どもは大人が的確に誘導しなければ助けることはできない。正解はないので、(防災について)職員たちと一緒にいつも考えながら答えを出さずに精進したいと思います」

震災で9人の園児を失った後悔を抱えながらも、今を生きる子どもたちのため前へ向いた八木澤さん。“悲劇を再び引き起こすまい”とするその意識が、園児たちの命を守り、多くの人の防災意識を変える原動力になっています。