「子どもたちの命を100%守る」園としての“覚悟”

「悲劇を繰り返してはいけない」。震災後、おおつちこども園では、「大災害時、保護者への引き渡しは一切しない」とするルールを作りました。「大地震などの際、園が子どもの命を守る“全責任”を持つ」ことを意味する決断です。

町内すべての津波による浸水想定区域を把握し、さまざまな時間帯・職員の勤務状況で災害が起きた際のシミュレーションをした上で、このルールの策定に至りました。八木澤さんに、迷いはありませんでした。

<八木澤弓美子さん>
「100%命を守ると私たちが言い切る覚悟がなければ、親御さんたちも安心してここに預けられない。安心をちゃんと担保するために決めました」

この覚悟の根拠の一つになっているのが、園が独自に行う「抜き打ちの避難訓練」。いつ起こるかわからない災害に備えた実践的な動きを身に付けるため、ほかの職員を含め事前に一切告知せず、不定期で実施しています。

おもちゃで遊んでいたり、庭で追いかけっこをしたりしていた子どもたちは、「大津波警報が出た」という園内の放送を聞くと、すぐに近くの大人と一緒に約50メートル離れた園の駐車場の車に向かって移動。「先生の車ってあれ?」「急いで!」先生だけでなく子どもたち同士でも声を掛け合いながら避難し、わずか1分半で全員が車に乗り込みました。

<八木澤弓美子さん>
「子どもたちに伝わっているなというのは、表情からすごく感じている。瞬間的にサイレンが鳴ったりとか、逃げること、すごく怖いと思うことが大事だと思っている」