クマの被害が全国で相次ぐ中、捕獲したあとの対応が議論を呼んでいます。
こうした中、今年4月から9月までの捕獲数が310頭と全国で6番目に多い長野県では、捕獲したうち、「非捕殺」=駆除をせずに放した数は57頭と圧倒的に多くなっています。
中でも、積極的に「放獣」を続けているのが、軽井沢町です。

ツキノワグマの保護管理を担うNPO法人ピッキオが軽井沢町で行っているクマの「放獣」。
ただ放すのではなく、人間の怖さなどを覚えさせてから山に戻す「学習放獣」と呼ばれるものです。

NPO法人ピッキオ玉谷宏夫(たまたに・ひろお)さん:
「わなの扉を開けてクマが森の茂みに入るまでの間、人の声やクマ鈴の音、イヌの吠え声を聞かせて、こういう音を聞いたら森の茂みに逃げ込むんだよとクマに学習してもらう」
一度捕獲したクマには発信器を付けて行動を確認するほか、再び人里に近づいた場合は訓練した犬で追い払う対応も取っています。

こうした活動の結果、軽井沢町で1年間に駆除されるクマは平均1.73頭で、2010年を最後に人が生活するエリアでは人への被害が発生していません。
NPO法人ピッキオ玉谷宏夫さん:
「駆除をし続けても被害が減らない場合もあるし、クマを守ることには繋がらないので、どのクマが私たちと共存するのが難しいかというのを知る努力は必要だと思う」