秋の味覚の代表格ともなった信州のシャインマスカットですが、中野市の企業がある工夫で売上を5倍に伸ばし、新たな市場の開拓を進めています。
その方法とは?

高い糖度と、大粒でプリプリとした食感が人気の高級ブドウ、シャインマスカット。
全国に先駆けて栽培を増やしてきた長野県。
国内の作付面積は今年、巨峰やデラウゥアを抜いて、ついに首位となりました。
保存にも向いていることから、クリスマスや年末の需要が増える時期に向けて、「冷蔵」した商品の出荷も農家の間では定番に…。

須高地域だけでも200軒以上の農家が専用の冷蔵庫を所有しています。
しかし、その「果物の可能性」をさらに広げたいと6年前に新しい取り組みを始め、売上を5倍以上に伸ばしている企業があるんです!
中野市で果物の生産・加工を手掛ける「農業開発」。
建物の中に入ると…、そこにあったのはブドウの冷凍装置でした。

「マイナス40度まで冷やしているのでカチンカチンですね」
手掛けたのは阿部貴典(あべたかのり)社長。
100年以上続く農家の8代目として、シャインマスカットなどブドウを生産しています。

(農業開発・阿部貴典社長)「自分の所の農園で作っていたブドウが割れたり房から落ちてしまったり傷ものみたいになっちゃってそれはもったいない、なんとか商品化できないかということで冷凍してみた」

最初は何気なく冷凍してみたという阿部社長。
すると、予想外に美味しく、廃棄されてしまう部分も冷凍することで、新たな楽しみ方が提案できると考えました。


少しもったいないようにも見えますが…、はじめに、実を手作業でもいでいきます。
(農業開発・阿部貴典社長)「一粒一粒検品をして選別している作業、傷が入っていたりするのはナイフで傷の部分をカットして綺麗に洗って殺菌をして冷凍の商品にしていく、ブドウの場合はほぼほぼ捨てるところがない」

続いて、マイナス40度の冷凍庫で40分程かけて冷凍。

(農業開発・阿部貴典社長)「早く凍らせることで均一に凍るのでどこを食べても同じ濃度、一般的にいう細胞破壊が少ないというところに繋がる」

今では、中野市内で採れたクイーンルージュやナガノパープルなど、ブドウを中心に10種類以上の冷凍果物を生産しています。