この基準について司法に詳しい元検事の飽津史隆弁護士は。

「平たく言うと、法廷に提出された証拠の中に、被告人以外の第三者が犯人であることを示す証拠が、どの程度含まれているか」
弁護側は、「丸山被告以外の物盗り犯による犯行」と主張していますが、判決のポイントとして、飽津弁護士が最も注目するのが現場に残された「足跡」です。
現場となった事務所の中にあった金庫からは現金が一部なくなっていました。

靴の足跡は、出入り口から金庫に向かって一方向にだけ残されていました。
飽津史隆弁護士:
「足跡のつき方がとても中途半端なんです。例えば物盗りに入って奥さんに見つかりました、びっくりして奥さんの首を絞めましたって言うなら、首を絞めた付近にもっとドタドタいっぱいの足跡がついて当然なはず。それがないんですね」
足跡をはじめ、現場の痕跡については、検察側が特に強調した点であり、物盗り犯を装った被告の偽装工作であると主張。
さらにこの足跡が10年前に丸山被告が履いていた「テニスシューズ」の靴底とデザインが一致したことも、被告の関係性を強めると主張しました。
一方、弁護側は、物盗り犯の靴の付着物が薄れて足跡が残らなくなった。
被告が事件当時テニスシューズを持っていたことは証明されておらず、偽装工作をした証拠もないと主張しました。
裁判所はこの「足跡」をどう認定するかが、ひとつのポイントになると専門家は話します。

飽津史隆弁護士:
「物盗りの犯行の可能性が払しょくできないと認定されれば、とびます(無罪になる)間違いなく」
一方で、間接的な証拠を個別に見るのではなく、総合的に捉えることも重要な要素になると言います。
飽津史隆弁護士:
「一個一個とらえればそういう(第三者の犯行)可能性も確かにあるのかもしれないけど、可能性がそんなに大きくないことを重ねていくと、社会的事象として起こりにくいことがポンポン重なるということは、逆にいうと、その人(被告)しかあり得ないという判断に結びついていく」